
秋田駅は新幹線駅として改築されてから随分時間が経ったので、耐震工事も含めたメンテナンス改装中だった。コンコースが防護壁に覆われて歩きにくい。木造の内装が使われた綺麗な駅なのだけれど、今は工事中で見栄えはよろしくない。

それでも広いコンコースのあちこちに、観光客を喜ばせる仕掛けがあり、JRもサービス精神旺盛なところを見せてくれる。個人的な感想として、八戸駅や青森駅より明らかにたのしい。盛岡駅もこのエンタメ性を見習ってほしい。ちなみに新青森駅は「ミニねぶた」の展示があり、それなりに賑やかだ。

最近は人気が出ている秋田犬の超巨大フィギュアというかぬいぐるみが、通行人に愛想を振りまいている。なかなか見どころがあるなと思うのだが、周りを通行している人たちは地元民らしく、全く関心がなさそうだった。

翌日の朝には、このヘナヘナな姿になっていてびっくりした。ぬいぐるみではなく犬型風船、空気人形だったのか。地元民であれば、このへなちょこになった姿を見ているから、関心が薄くなっているのかな。

今回の旅では、あちこちの駅でSLの展示がされていたが。日本の鉄道開業150年という節目のせいらしい。秋田駅では展示がD51だった。このSLの選択基準は何だったのだろう。

秋田駅は青森、盛岡、新潟を結ぶ結節点なので駅の規模は大きい。駅名表示も全て緑色でJR王国だ。各駅停車の旅では、乗り継ぎポイントとして重要な駅になる。

この後は各駅停車で羽越本線を南下していくのだが、新潟まで一気に繋がるわけではなく、最初の中継点は山形県酒田になる。事前に時刻表をよく点検しておかないと、ポッカリと待ち時間が生まれる。

酒田は日本海航路の中継港、ベニハナの積出港で海運で栄えた街だ。陸運でお江戸とつながるより海運で京都大阪と繋がっている歴史がある。だから鉄道の拠点というより中継点といった感じがする。それなりの規模の駅だが、思いのほか発着する便が少ない。

北前船のミニチュアが駅ホームに展示されていた。駅で船を見るというのもちょっと微妙な感覚になる。ここでの待ち時間はかなり長いので、駅前食堂で昼飯をと考えていたが、残念ながら駅前食堂は発見できず諦めた。
仕方がなく駅舎の中にあった山形屈指の高級食料品店であれこれ土産物を物色していた。嵩張らないものが良いなと思っていたのだが、結局選んだのは酒田の地酒のワンカップ。値段も重さもお手頃だ。

酒田で2時間以上の待ち時間があり、あれこれ旅程の再検討をしていたら特急を使い、いわゆる「ワープ」をすると早めに新潟につけることがわかったので、ここはズルをして特急「いなほ」で飛ばすことにした。着いたのは「村上」、これで秋田県から山形県を抜け新潟県に入った事になる。
酒田から余目経由で山形内陸部、そして福島県に向かうコースもあるので、次回は日が日本を今回と逆回りで旅をするのもあるかな。

村上には随分昔に鮭の干物を見にきた。新潟県北部から秋田県に至る日本海側は高速道路が全通していないこともあり、なかなか縁遠い場所だった。鉄道旅をするにしても、県庁所在地はピンポイントで新幹線がつながっているが、それ以外の都市は鉄道での乗り継ぎ、接続があまり便利ではない。

村上は鮭の町と思い込んでいたが、お城の街でもあったようだ。戦国時代には出羽の最上氏がブイブイと言っていた勢力圏だった。やはり駅には「鮭」キャラがいた。

駅舎は風情のある平屋建てで、地方都市の駅としては優れものだ。県都新潟まではJRで1時間程度、適度な規模の地方都市という気がする。駅からはタクシーで郷土資料館に行き、帰りは歩いて駅まで戻ろうとした。しかし、この日の気温は30度を超え、20分も歩くと汗がどれだけ出ることだろうと思い、帰りもタクシーに来てもらった。行きと帰りが同じ運転者さんだったので、村上の街のあれこれをうかがえた。これはラッキー。最近は降雪量もだいぶ減ったらしい。地球温暖化というのは思っている以上に身近なものだなと改めて感じる。

新潟に着いたのは午後で、予定よりだいぶ早い。宿題にしていた新潟名物視察に早めに出かけることにした。新潟駅は東西南北から鉄道路線が集結する巨大ターミナルで、各駅停車の旅をするときには路線の確認が重要だ。行き先の駅名もよく把握しておかないと、とんでもないところに行ってしまう。要注意駅というか罠が仕掛けられていると思った方が良い駅だ。

着いてみたら駅舎改造工事中で駅構内を含めダンジョン化していた。罠の危険度は一段上のレベルになっていた。危険危険危険、と頭の中で警報が鳴っていた。にもかかわらず、結局は罠にはハマってしまった。無念。