
秋田の官庁街近くにある「夜の繁華街」は、どうもすっかり寂れてしまっているようで、あちこちに空き家が目立った。週中の平日だったから、休業日という店もあるのだろうが、それにしても人通りも少ない。
そんな夕方の街をぶら歩きしていて見つけたのが焼き鳥屋だ。この店は秋田のローカルチェーン店として記憶にある。鶏皮が名物なのだが、博多の有名鶏皮とはちょっと違う感じがする。それでも、仙台の支店で食べたときは、なかなか乙な一品だと思った。その本店が秋田市中心部にあるのをすっかり忘れていた。最初に狙っていた秋田名物の居酒屋はやめて、鶏皮を食べることにした。

お通しが洒落ている。どうしてなのか理由はわからないが、高級焼き鳥屋ではよく大根おろしがお通しに出る。確かにさっぱりとした大根おろしは、焼き鳥の油と相性が良い。文句はないが不思議だ。

日本酒は秋田の名酒がごっそりとラインナップされていた。今回は余り冒険をせずによく飲んでいる酒を選んだ。二杯目は未体験の酒にしようと思ったが、この一杯で十分に仕上がってしまった。美味い酒は一杯だけでやめておくのが、上手に酒を飲むコツかもしれない。

名物鶏皮登場、濃いめの味付けと冷たい日本酒がよく合う。北の秋田、南の高地と酒呑の両雄の地で焼き鳥を楽しんだが、やはり北の方が肉料理はうまい気がする。高知はやはり魚だろうなあ。
皮の焼き鳥は博多のものよりもしっとり目な感じがした。秋田の鳥皮はソフト系、博多の鶏皮はドライ系といった感じだろうか。味付けはどちらも甘味が強い濃厚タレだ。熱々のうちに食べるべきだろうなあ、と感じたのだが、普通に一人前で5本10本と頼むのも頷ける。一本だけでは物足りず、おかわりをしたくなった。



その後はマイ定番のセセリ、肝、つくねを頼んでフィニッシュ。どれもうまい。焼き鳥は日本が産んだ肉料理の最高峰ではないかと、いつも思うのだが、秋田にもうまい焼き鳥屋があってよかった。
ちなみに全国に隈無く存在する焼き鳥屋だが、各地でそれなりのローカル串も存在するから、どの街に行っても焼き鳥屋に行きたくなる。焼き鳥屋の不思議なところは個人経営の店でもチェーン店でも、専門店であればそれなりに楽しめるところだ。(居酒屋でついでに出てくるようなメニューの焼き鳥には問題があることも多いが)
個人的な焼き鳥の旨い街ランキングでは、福岡と札幌が2トップなのだが、それに秋田を加えてもよさそうだ。
四国は焼き鳥よりもも肉の丸焼き(骨付鳥)が大本命だが、ついつい魚に手が出てしまうので、焼き鳥経験が少ない。大阪にも独特の焼き鳥文化があるが、記憶に残る店がない。不思議だ。次は名古屋あたりで、旨い焼き鳥を食べてみたいなあ。