
夜の弘前をほろよいかげんで歩いた。いっぱいやった後なのでホテルの周りをぐるっと一回り程度の軽い散歩だった。上土手町という町名に、なんと話に感動してしまった。確かに川のほとりの街だから、こんな地名があっても不思議ではないが。
冬になるとこの案内板の半分は雪で見えなくなるのだろうか。

弘前駅に続く道に、夜遅いのも関わらずベンチに座っている女性がいる。遠目から見て、不思議に思った。近づいていくと、何やら上から下まで黒っぽいモノトーンで、あれれこいつは………
やはり生き物ではなかった。石の置物で、どうやらデザイン的な街の風景をおしゃれにする代物だった。何年か前に福井の大通りでジャズプレイヤーの像が、こんな感じでベンチに置かれていた。あの時は日中だったので最初から人ではない石造だとわかったが。
その後、どこかの町で同じ像を見つけて、なんと量産型のベンチ石像があるのかと、笑ってしまった。弘前のこの女性像?は、量産型ではなく一品もののような気がする。
しかし、夜にこれと出会うと、うすきみ悪い。人によっては、冷や汗を掻くほど慌てるかもしれない。

そこからもう少し歩いたところに、小さな皮に足を突っ込んでいる女の子がいた。これは、もはや怪談的な不気味さがある。夜にはもっとしっかりライトアップしてほしい。市の観光課なのか地域活性課なのか、あるいは街の商工会議所なのか、シティコミッションなのか。どこが責任を持っているのかはわからないが、昼にはなごむ石像も夜には恐ろしげになることを理解してほしい。せめてライトアップだけはしっかりとしようよ。薄暗い中のリアルな石像は、想像を刺激しすぎる。
ほとんどウルトラQ「ケムール人の回」を思い出した。これで夜眠れなくなったらどうしてくれる。