
札幌市内中心部、ランドマーク中のランドマークであった4丁目プラザが現在建て直し工事中だ。それでも、4プラ・プライドとでもいうべきか、工事中の囲いに「4」のマークがある。これは粋な計らいというものだろう。

その向かいのパルコだが、開業当初の「文化」を売り物にする商業施設として持っていた、テーマ性というか思想性は、もうかけらもないのかと言いたくなる。俺のパルコを返せと言いたくなる最近の変容ぶりだ。確か、札幌のスターバックス一号店をオープンしたのはパルコだったと思うが、あのイベントが最後の抵抗だったのだろうか。
おしゃれだったレストラン街も今では回転寿司が入るようになってしまうのだと嘆きたくなる。それも郊外ではローカル回転寿司に押しまくられているナショナルチェーン店なのか。他人事ながら、なにやら無念な気がする。吉祥寺のパルコでは回転寿司を許せるが、札幌ではやめてくれというのは、我ながら自分勝手だなと思うのだが。

そんな都心部でのあれこれ、自分勝手な感想を腹に収めたまま、ちょっと町外れの超伝統居酒屋に出かけた。変わらないものを感じたくなったせいだ。だから、これも超定番の料理を食べることにした。

基本的にこの居酒屋は酒を飲むところのはずだが、蕎麦や飯が充実しているので、締めとは思えない「ガッツリ定食」を食べている客を見かけることがある。串カツは、飯にも酒の肴にも合う万能料理だと思うが、世の居酒屋では意外と提供するところが少ない。それだけに、この店の串カツは名物になるだけの値打ちがある。
ところが、この店にによく行く友人から「串カツが名物というが、それは本当か?」と聞かれた。どうやら、この店の常連客は、串カツを名物とは思っていないらしい。
何やら不思議な気がした。しかし、やはり名物で良いと思う。昔ながらの豚肉と玉ねぎが交互に挟んである、カリカリ衣の串カツは偉大だ。最近チェーン店で普及した、一口サイズの大阪串カツとは違い、まさしくご飯のおかず系の一品だ。
頼めばソースも出てくるが、ここは自分スタイルで醤油をかけて食べる。昔から醤油で食べるトンカツが好物だった。串カツもソース味は捨て難いが、やはり好みは醤油味で、タルタルソースなどという軟弱系は使わない。
まあ、時代の流れと共に昔風のスタイルは廃れるし、それを維持しようとすると頑固者とか意固地とか言われるのも仕方がない。自分がそんな言われ方をする歳になるとは思っていなかったが、これも人の世のならいというもので、そんなことを言っている君たちもあと何十年かすると同じ羽目に会うのだよ、と心の中で悪態混じりに呟くのであります。串カツには冷の日本酒がうまい、というのも古いかな。
立て直しが完了した4プラでは何が楽しめるようになるだろう。