食べ物レポート, 旅をする

小樽で蕎麦を楽しむ

小樽のぶらぶら散歩の目的地は、なぜか鮨屋ではなく蕎麦屋だった。たまたま目にしたネットの投稿記事が記憶に残っていた。ホームページで店の位置を確認してみたら小樽駅のすぐ近くなので、帰り際に立ち寄って軽く一杯やってみようという気になった。もちろん小樽の絶対定番である若鶏半身揚げは帰る前にテイクアウトでゲットする。ただ、あの揚げたての若鶏を他の店に持ち込む勇気はない。半径10mにいると、若鶏の匂いがわかる。少なくとも蕎麦屋の客に若鶏の匂いをさせるのは失礼だろう。

店内はテーブル席と座敷席に分かれている。よく見ると蔵の壁が座敷の中になる。どうやら石造りの蔵に増築をしたお店らしい。和ダンスや囲炉裏も飾りというより実用品の感じがする。

二枚鷹の羽の家紋はどちらのお家のもんなのだろうか。戊辰戦争後に移住してきたのであれば、東軍幕軍支配地だから、日本海沿いのどこかか東北だろう。調べてみたがよくわからなかった。

蕎麦屋おすすめの日本酒を熱燗で注文した。蕎麦屋のお作法として、当然のようにそば味噌がつけられてきた。これを豆一粒くらいの量をつまみ酒を飲む。どちらかというとお江戸の飲み方なのだと思うが、それを小樽で実践する。おそらく、お江戸の蕎麦屋で修行した方が小樽に店を開けたのだろう。その時にお江戸の流儀をそのまま持ってきた。それが通用するほど小樽は当時の日本の先進都市だったという証明だ。

ちなみに札幌の蕎麦屋で、日本酒を注文したらデフォルトで蕎麦味噌がつく店は、極めて少ないはずだ。蕎麦味噌の代わりに柿の種がついてくる店は何軒か知っている。

そして、最初の注文は「塩ウニ」。「汐うに」と書くこともあるが、ウニを塩でつけただけのシンプルな食べ物だ。仙台の老舗居酒屋でこれを肴に浦霞を飲むのが楽しみだった。それ以来、塩ウニをメニューに発見すると半自動的に注文してしまう。
魚屋で塩ウニを探してもなかなか見つからない。煉ウニ製品はそれなりに出回っているが、塩ウニは作る人が少ないのか、鮮度維持の問題があるのか。とにかく、レアものなので、みたらゲットだ。

うまいものは見た目も美しい もはや芸術

お江戸の老舗では当たり前に注文できる天抜きは、天ぷらそばのそばを抜いたもので、蕎麦つゆに浸った天ぷらの衣を楽しむものだ。油が出た蕎麦つゆも美味い。それの変化形が柏抜きで、柏そばのそば抜きのはずだった。ところが、この店のそば抜きは、それとはまったく別格の「つゆ料理」になっていた。和風スープというべきかもしれない。汁物で酒を飲むというのは、なかなか贅沢なことだ。懐石料理でも汁物が独立した一品であるように、良質の汁物は十分にお値段をとれる。蕎麦屋で蕎麦が付け足しになるという困った現象にもつながるが、美味いものは美味い。

次は食べてみたい「うにとじ」蕎麦 でも、これも「抜き」で注文してみたい

お品書きを見ると蕎麦粉が2種類ある。地粉と普通粉で、いつもの蕎麦屋が食材にこだわり気取ってるなという「悪評」を避けたいということらしい。いつもの蕎麦も、店主こだわりの蕎麦もありますよという、優しい考え方だ。
どうにも蕎麦屋を始める人の中に一定量存在する、求道者というか宗教家というか、蕎麦を神聖視する方達にはついていけない。一杯3000円するそばを食べに行ったこともあるが、その差や価値を理解できるほど自分の舌は繊細ではないし能力不足だとわかっただけだった。
とりあえず、今回は初回ということで、普通の粉のそばを頼むことにした。

普通の粉のそばは普通に美味かった。蕎麦つゆはお江戸の下町系で出汁が強く主張している好みのものだった。蕎麦つゆにネギを入れて、ネギとそばを一本ずつつまみにして飲むのがお江戸のいなせな兄さん流儀みたいな文章を読んだ記憶がある。そんなことをしていたら蕎麦が乾いて団子になるだろうと思ったら、案の定、乾いたそばには日本酒をパラパラ振りかけてほぐしながらつまむのだそうだ。
そんなことを思い出しながら最初はそばを一本ずつつまんだが、ひとしきりそば通を気取った後は、一気に啜って完食した。
小樽の蕎麦は鮨よりうまいとは言わないが、味わうべき名品であることは間違いない。いいお店だった。

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