
今回は飛行機に乗る前から、この店のラーメンを食べる気で満々だった。何かきっかけがあったわけではないが、札幌に行って何を食べようかと思った時、ぱちっとスイッチが入った感じだ。
それも思い浮かんだ脳内映像は、白いスープの上に浮かぶ赤い梅干だった。ラーメンを味ではなく、色彩で思い出すというか、記憶しているというか、我ながら変な思考回路だと思うが、味ではなく色の記憶は忘れないものらしい。

この季節なので冷やし中華がメニューにあった。北海道的には「冷やし中華」ではなく「冷やしラーメン」と表記するところだが、それでもこの店の冷やし麺を見たのは始めてだ。おまけに、その隣には何やらヘンテコな(個人的感想です)名前のラーメンが載っている。この店は定番だけで十分戦闘力があると思うが、何か新しいことをしてみたいのかな。ひょっとすると、東京あたりの中華チェーンの影響なのかもしれないが、価格を見るともはやラーメンの域を超えそうになっている。これでいいのかなあ、と不安になる。

結局、冷やし中華のメニューを見て脳の中で変な回路がつながり、注文したのは冷たいビールだった。ラーメンが到着する前にぐびっと半分ほど飲めば、さぞかし熱いラーメンも美味くなることだろうということだ。

あー、これこれと思う。濃厚なスープに硬めの細麺というベース。それに胡麻とキクラゲの食感がコリコリ系なので、麺と絡むと食感のバラエティーが余計強くなる。チャーシューは焼肉というより煮豚で、それもトロトロに仕上がっている。濃厚なスープの中で、この食感違いの食材が混在している。単純にラーメンと言ってはいけない、実に計算が尽くされた麺料理だと思う。これが食べたかったのだ、と満足感は大きい。

カレーラーメンのメニューがテーブルの上に置かれていた。これも食べたら美味いとは思う。店主の力作なのかもしれない。でも、やはり注文するのは定番の塩味になってしまう。
もしこういうバリエーションを増やしたいのであれば、追加ペーストで味変みたいな方向にしてもらえないものだろうか。それであれば、きっとお試し注文するのになあ、と定番大好きオヤジラーメンファンは思うのであります。