ちょっと長い前振りだが、自分の趣味、嗜好の範囲について、何やら関連の薄いものを浅く広く変なことばかりという指摘を受けた。確かにその自覚はある。仕事柄で食べ物関係はそれなりに詳しい。外食、食品関係は専門だから食材や味、レストランまで各地のバラエティーメニューを含め知識と興味はひろいし深い(はずだ)。
逆に、よくひとさまの話題に上るスポーツやエンタメ系は全く興味がないので知識量は幼稚園児にも劣る。野球もサッカーもオリンピックもスキーもスケボーもサーフィンも興味なしと断言できる。
偏った好みの題材としては、SF関連が小学生以来の一貫した大好物で、スターウォーズはいつも熱く語る自信がある。宇宙ものアニメもそこそこ詳しい。その延長で現代兵器や近代戦記もよく調べたりする。最近では戦国時代の軍制や兵制に興味がある。
正しい趣味(笑)では旅好きが高じて「鉄道」「神社仏閣」「名城」巡りが自分なりの王道・メジャーなところだが、それに加えて全然一般的ではない「ダム」巡りと、素人ウケしない「博物館」探訪がある。
特に博物館で好みの題材が「恐竜」と「航空機」で、これは国内だけにとどまらず海外にも足を伸ばしたくらいの筋金入り(自称)だ。スミソニアン博物館は圧巻で丸一日堪能したが、福井の恐竜博物館は世界で一番楽しいところだった。
その博物館好きとしては、傲慢にも北海道には面白い博物館はない、と思い込んでいた。それはとてつもない過ちだと今回は反省することになった。

北海道三笠市、昔は石炭産地として有名だったが、今では全て閉山しているはずだ。自分の記憶にあるミカサとは、アンモナイト化石が噴出する場所で小学生が社会見学で化石掘りに行くところというものだった。
だから、アンモナイト展示場があることは知っていた。ただ、不覚にも一度も訪れたことがない、というか行った記憶がない。学生の頃にどこかで大量にアンモナイト化石を見た記憶はあるが、それはこの場所ではなかったようだ。

展示室に入ってまずはびっくり、そしてそのあとは感動した。よくも、まあ、こんなに化石が勢揃いしてくれているものだ。掘り出した人も偉いが、クリーニングした人も偉い。人の手仕事は素晴らしい。という感動だった。

大型の化石は直径が1m以上のものがある。古代の海洋では、こんな大きな貝(のようなもの、貝モドキ)が泳いでいたのだ。アンモナイトは今のイカやタコの親類に近く、浮かびながらおよいでいたらしい。

アンモナイトも生息していた時期により殻の巻き方や大きさに違いがある。ただ、こうして一斉に並べられると、ただただ圧巻というか化石好きにはたまらない。どこかの博物館には、殻に歯形がついた化石も展示されているはずだ。高速で泳ぐアンモナイトを追いかける魚竜やサメの先祖、みたいな古代闘争シーンの絵柄が思い浮かぶ。

子供の時に、このアンモナイト化石を見ていたら、なんだか違う人生を歩んだような気もしてきた。ひまさえあれば山に入りこみ、ひたすら石を割り続けて〇〇年みたいなディープな世界だ。

今回のアンモナイト以外の学びは、三笠で出てきた恐竜化石の正体だ。でてきたのはティラノサウルス系の恐竜ではなく、恐竜の親戚の魚竜らしい。世の中には恐竜のことを大型のトカゲと思っている方も多いが、恐竜類と爬虫類は別系統だし、海にいる恐竜(鯨みたいな陸棲から海棲に戻ったもの)と、恐竜とは違う海棲爬虫類に近い魚竜みたいな差があることも知られていない。
まあ、恐竜類の進化検証はどんどん新しくなっていることもあり、10年前の知識が否定されることもたびたびある。最新の分析では、ティラノサウルスの表皮は鱗ではなく毛で覆われていたらしい。もふもふのティラノはあまり怖そうではないなから、ジュラシンクパークも新設に合わせて改作される(?)かもしれない。
そんな最先端の恐竜学の知識を得るには、意外と博物館が便利なのだということも、今回改めて学んだ。歳を取っても恐竜のお勉強は続けなければなあ、と思ったミカサ博物館でありました。