高知の知人に連れられて湯島のイタリアンに行くことになった。久しぶりなきちんとしたレストランだと思って喜んでいたが、店の前に行って初めて気がついた。ビストロなんですね。いや、ビストロに文句をつけるつもりはない。ただ、ビストロはイタリアンとはちょっと違うはずで・・・と気になっただけ。料理の仕立てがちょっと変わるのかなと思った程度だ。

高知からの食材にこだわった店だということなので、当然ながら美味しいカツオが登場してくる。香菜をたっぷり盛ったたたき風の仕上げは、実に料理感がある。カツオの身が持つ独特の臭みを香草でマスク・アレンジするのは「あり」だなあと、素直に楽しんだ。高知で食べる焼きたてたたきもうまいが、お江戸のお仕事がなされた鰹もうまい。

店内は落ち着いたムードで居酒屋的に使うのは申し訳ないが、メニューを見るとまさにビストロ、洋風居酒屋なのでこれは二度三度と使いたいお店だった。どのメニューも高知テイストがさりげなくばら撒かれているので、高知県人には人気が高いそうだが、高知県人でなくてもたっぷり楽しめる。ただ、メニューアレンジがワインよりも日本酒と合わせてみたいと思う不思議な魅力があり、そこがなかなか悩ましい。


鰹以外にも、土佐の豚や鳥を使った料理が思っていた以上にうまい。素材の良さもあるのだろうが、やはり料理としてのお仕事が、素材の魅力を引き出している。料理とはかくあるべしというお手本みたいなものだ。
特に、自家製ベーコンは、こっそり独り占めしたくなる。今回はみんなでシェアしながらの試食みたいな感じで色々と注文したので、次回は一人で好きなものを好きなだけ注文作戦を実行するとしよう。



最後におすすめとして出てきた「豆腐」のアレンジ品が絶妙だった。豆腐のジャーキー風干物は、そのまま単品で齧る。沖縄の豆腐窯のような味噌漬けは小さく切り分けクラッカーに載せるとこれが実に絶品だった。
世の中、まだまだすごい食べ物があるのだなと感動してしまう。ちなみに、この手の珍味は店長自ら仕入れてくるそうで、店頭でも販売しているから帰り際に自分へのご褒美として気に入ったものを買って帰ることができる。誠にいたせりつくせりのお店だった。
しかし、湯島で高知以上に高知を楽しむ。良い時代だなあ。