
久しぶりの鉄道旅で、ちょっと気分が高揚していた。そして、これまた久しぶりの高知駅でキオスクがわりの某コンビニ大手(JR四国は全部これに変わっているはずだ)で飲み物を買おうとして、隣の土産物屋の前に「駅弁」の幟が立っているのをみつけた。
早速駅弁コーナーを見学に行った。発見したのは、手作り感のある微妙な凸凹を感じる、おこわのおにぎりだった。鳥と山菜を選び購入決定。おこわのおにぎりはなかなかめずらしいが、おこわ特有のもちっとした食感が好みなので見つけるとつい買ってしまう。栗入りにも心惹かれたが、流石に3個は多すぎるので諦めた。

「かつおめし」というのは高知の家庭料理なのだと聞いたことがある。醤油と味醂などで甘辛く煮たかつおのほぐし身をご飯の中に混ぜ合わせる。ちらし寿司がかつお味になったようなものと思えばよいだろう。
生姜が効いているので、思いのほかさっぱりとした味がする。かつおめしの素は土産屋でも売っているが、スーパーでも普通に置いているようだ。高知土産としては、実用性の高い(笑)名品だと思っている。
それが駅弁になるとは、ちょっと嬉しい。ただ、ルックスは茶色い飯が箱いっぱいに広がるだけなので、あまりビジュアル効果はない。一気にかき込まないと均一の味なので途中で飽きが来るかもしれないが、この弁当の量であれば一気喰い可能だろう。

高知の持ち帰り品としては「鯖寿司」が有名だったはずだが、いつの間にか「焼きサバ」に変わっているみたいだ。衛生管理上の問題からなのだろうか。高知の鯖寿司は、京都の棒サバ寿司や大阪のサバ押し寿司と比べてワイルド感があり、好きだったのになあ、とこれもちょっと残念に思った。
ひろめ市場あたりに行けば、まだ以前の「鯖寿司」は売っていそうな気がする。ただ、ひろめ市場の鯖寿司は一人で食べるには随分と大きいというか量があるので、そこが難点なのだが。

駅弁チェックを終わり店を出たところで気がついた。なんだか不思議なピンクの像がいた。べろべろの神様って何だよーと突っ込みたくなる。高知は宴会のことをおきゃくというらしい。
だから、このピンクな方は宴会の神様で、それも最近お生まれになったみたいだ。少なくとも3年前は見たことがない。当時は、まだささやかに活躍していたのかもしれないが。なんだか、坂本龍馬より、カツオより親近感のわく高知代表選手という感じだ。次代を率いる高知ゆるキャラになってくれないだろうか。

高知駅は外からの見栄えの割りに駅ナカは簡素というかさっぱりしている。幕末に活動した方達の銅像がある方(南側)が市内中心部向きなので、反対の北側はバスターミナルを過ぎるとすぐに住宅地だ。そのためか、駅ナカを自転車を押して通る人も見かける。
高知駅は首都圏で言えば私鉄の急行駅くらいの感覚になる。

それでも改札付近には高知観光、四国観光の広告がたっぷりと並べられている。

志国土佐とはなかなかの名文句だな、などと広告コピーの出来を偉そうに批評しつつ、駅の中をあれこれ見て回った。結論としていうと、JR四国(とその広告代理店)制作の広告は極めて優秀だということだ。
個人的見解として言わせてもらうと、あきらかに予算潤沢なJR東日本の広告より相当にレベルが上だ。予算規模で言えばほぼ青天井だった東京オリンピックの広告物の酷さを思うと、広告は金だけではないなと改めて感じた。自分が現役時代だったら、このJR四国チーム(広告代理店)を引っ張ってきたかもしれない。
駅ナカは買い物したり、ご飯食べたりするだけではなく、お勉強もできる場所なのだな。