
日曜市で必ず調達するのが田舎寿司だ。日曜市のあちこち、だいたい4−5箇所で売っている。地元の人にはそれぞれ贔屓のお店があるらしい。売り切れごめんなので人気店は午前10時くらいには完売する。味付けも店によって随分と違っているので、できれば2−3箇所を食べ比べしたいところだ。お値段は一折り400−450円とお手軽な価格設定だから二つ三つ買うのも無理はない。
おまけに中身の組み合わせが、同じ店で売っていてもひとつ一つ違う。よーく確かめないと、自分の好みの寿司が入ってなかったりする。これが迷いどころというか、楽しみの原因だ・
基本的な具材は野菜で、薄切りにした酢漬けの野菜や筍がマグロやヒラメの代わりになった握り寿司と思えば間違いない。特徴的なのはこんにゃくで、甘辛く煮たこんにゃくを乗せたり巻いたりしている。卵焼きを海苔がわりに巻いたものは、田舎寿司の中でも贅沢品だろう。

店によっては酢漬けの魚(サバとかアジ)を乗せていることもあるが、基本はきつめの酢飯に野菜オンリーだから、ご馳走というよりも握り鮨のコピー料理のような気もする。今のご時世ではビーガン専用食と言っても通りそうなので、時代がひと回りして最先端料理になっていくのかもしれない。東京で創作寿司として売ればヒットしそうな気もする。
高知の町中の寿司屋では、この田舎寿司を作ってくれるところもあるようだが、いつでも買えるわけではないだろう。予約もいるだろうし、値段もそれなりに高いものになるはずだ。

珍しくアジや鯖の押し寿司を売っている店があった。この店も開店時間が遅いようだが、店を開けると常連さんが3個4個とまとめ買いするので、それなりに早く店じまいになるらしい。押し寿司としては小ぶりなので、飯というよりは酒のつまみのような気もする。

高知特有の巻物、土佐巻は、間違いなく酒のつまみだと思う。鉄火巻がマグロを使うのは高知でも同じようだ。ただ、鉄火巻よりこのカツオを巻いた土佐巻の方が、なんとも偉そうに見える。中身のカツオが大きいこともあるが、実はニンニクの薄切りがわさびがわりにカツオとあわせて巻かれている。
食べると、ニンニクのがつんとした味が口の中で爆発する。海苔巻とは思えない暴力的な力強さだ。これとくらべると鉄火巻きが実にお上品な食べ物に思えてくる強烈さだ。
これをバクリと一口がじって、冷たい日本酒で流し込むというのがおすすめだと思うが、やはり「普通の人」には抵抗がある食べ物かもしれない。全国あちこちで鰹を食べてきたが、この鰹の巻き寿司は高知独特のものみたいだ。ひょっとすると鹿児島や宮崎のカツオ漁港では存在するのかもしれないが・・・。

帽子パンは帽子のつばに当たる部分が、メロンパンの皮というかビスケット生地で、真ん中にあるこんもりとした部分は、なんの味もない丸いパンだ。だから、縁の部分を先に食べてしまうと、なんとも情けないというか、味のないパンが残る。パンの部分と唾の部分を交互に食べるべきだ。これも食べ方は要注意だろう。
お土産に帽子パンを買うと、持ち運ぶ時につばが折れないよう、とても気を使う。だから、これはお土産向きではない。それでもルックスはそれなりのインパクトがあるので、小さいお子さんがいるお父さんであれば、我が子のびっくりする顔が見たくて買ったりするんだよなあ(自己体験です)