食べ物レポート, 小売外食業の理論

外食DX考察 サイゼリヤ

サルシッチャを食べようとすると、どこに行けばいい?
高級イタリアンレストランに行っても、所詮イタリアからの冷凍輸入品で保管状態もあやしい

どうやらtwitterで、「サイゼリヤ貧乏人食べ物」説を唱えたおバカさんがいて炎上しているらしい。このサイゼリヤ批判は、なぜか定期的に起こるが、その度にサイゼリヤ弁護人が大量出現して、勘違いしているおバカさん(炎上元)を一気に葬り去るというのがネットの「お約束的」な活動になっているようだ。
サイゼリヤをバカにする思考は、吉野家、マクドナルド、ガストなどの低価格チェーンも同列に批判のまとにする。俺はそんな安物を食べたりしないし、安物には満足していないぞ、エヘンエヘンという、上からマウント的な発言が批判の元なのだが。どうにもやりきれないのは、「俺はお前たちと違う」という見下し思想をネットで公開する浅はかさなのだ。見下したければ勝手にすれば良いのだが、それをわざわざネットで広げる必要もないだろうに。問題になっているのは見下し思想よりも、それを公開する頭の悪い行為なのだと思う。
個人的には、本当に日常的に高いものを食べている「リアル」な人種は、わざわざ低価格品を見下したりしないだろう。そもそも「安い食べ物」を実食していないはずだ。だから、炎上元の大部分は「実際にはそこそこサイゼリヤでも食べているが、それは認めたくないものだ」的な自称アッパー・グループの貧困層なのだろうななどと想像している。
ちなみに、外食産業従事者として言えば、サイゼリヤと同品質のものを提供するためには、販売価格を倍にしなければ利益を出せない企業がほとんどだろう。原材料購入、セントラルキッチン、店内厨房、商品提供用動線、店舗立地など様々な収益構造を支える要素をクリアしなければ、あの値段で利益を出せない。それ位以上に、ダメな店であれば1000軒も出せない。おまけに全国展開するのだから、地方の味の好み、ばらつきなどを超越しなければならない。ローカルチェーンが全国チェーンになれないのは、その地方差を抜き出ることができないせいだ。全国チェーンの作るのは誰でもできる「仕事」ではない。資本力があるからできるという業種でもない。
そもそも、炎上元になっている人たちはサイゼリヤの料理のどこを具体的に難癖をつけているのかと思うのだ。
非常に簡単なことだが、同じ料理をそのままお高い食器に盛り付けされてテーブルに出されたら、一皿2000円でも払ってしまうだろうと思う。サイゼリヤの料理はその程度に完成度は高い。
手作りが料理うまいというのは、プロでなければいつも同じレベルに料理を仕上げるのが難しいという意味だろう。同じ料理を同じように作ることは、技術のない素人には真似できないということだ。
また、家庭料理ではなかなか用意しにくい、ちょっとだけ使う調味料が味の決め手になっている「プロ仕様の味付け、食材調達」もプロとアマチュアの差になる。だから、プロの仕事が大量生産できないかと言われれば「出来る」。手作り=プロの仕事ではない。
それを突破するのがセントラルキッチンという現代技術だし、大量購買による原材料の規格厳守、専用調理機器の使用と長期保管の技術などで、商品のばらつきを防ぐというビジネスモデルが必要だ。
外食業界に置いて、おなじ経営・運営要素を使いながら、倍の値段をとるファミレスの方が多いだけだ。高いもの=うまいものという方程式は無条件に成り立つものではない。
と、プロの目から見て問題指摘を(僭越ながら)させてもらった。まあ、平たく言えば、「プロの食い物屋、なめんなよ」なのだ。

そんなこんなでいささか腹を立てながらサイゼリヤに行ってきた。お目当てはこれまで見逃していた温アスパラのサラダだ。これもお値段300円だが、出てくるものは繁華街の高級レストランであれば、軽く1000円超えする品位だった。(サイゼリヤは単純に食器でずいぶん損をしている気がする)
温めたアスパラの上に、温玉とチーズが乗っている。いわゆる臭みの強いチーズなので、卵と和えると濃厚ソースに変身する。ここがサイゼリヤ的上手さなのだが、味に関して決定的なのは直輸入しているチーズだろう。
スーパーで売っているチーズで真似をしようとしても、それほど簡単にはいかない。とりあえず手近でも手に入るゴルゴンゾーラのような匂いの強いチーズで置き換えることは可能だ。しかし、それを300円で売って儲かるメニューに仕上げろと言われたら、イタリアンの名シェフであっても困惑するはずだ。大きな皿の上にアスパラを2−3本を並べて、その上に申し訳程度のソースがかかったものになるだろう。大量購買なしに美味いものを安く提供することは、基本的にできない。

目玉焼きは乗っていなくても良いのだけれど、やはりルックス重視なのか

あれこれブツブツ考えながら、追加でハンバーグを頼んでみた。これまで知らなかったのだが、ランチセットのハンバーグは合い挽き、単品メニューのハンバーグは牛肉100%なのだという。恥ずかしながら、違いをよくわかっていなかった。
言われてみればランチセットのハンバーグはふわふわ系だったかなあと思うが、かかっているソースがランチ専用の濃い味だったせいか、肉の味までは気が付かなかった。(いつもの通り、普通にうまいと満足していた)
なので、あえてランチセットではなく、単品ハンバーグ、一番何も追加になっていない目玉焼きハンバーグを頼んだ。
頭が理解しているせいもあり、肉質の違い(歯応えがある)はわかった……ような気がする。最初は肉だけで食べたので、肉と油の味も記憶することができた。
個人的にはびっくりドンキーの合い挽きハンバーグが好みだが、サイゼリヤの牛肉100%もうましだった。これも他のステーキレストランで目の前の鉄板で焼かれたりすると、一食2000円取られても満足しそうな気がする。

そんなわけで、いつ行っても大体満足できるコスパレベルの高いサイゼリヤだが、ことDXに関してはお勉強するところがほぼない。コロナの中、注文は口頭ではなく、注文票にメニュー番号を書いて渡すような仕掛けに変わった。直接接触を減らすということだが、ゼロになるわけではない。それよりもすごいと思ったのが、従業員のほとんどが、すでにメニュー番号を記憶していて、番号でメニュー名の復唱をすることだ。人の学習能力の高さを思い知らされた。これだと、タブレット導入を嫌がる経営者の気持ちがわかる。
サイゼリヤはランチ以外時間帯によるメニュー変更がないという運営方針もタブレットが導入されていない要因かもしれない。
会計はクレジットカード・電子マネーが使えるようになったが、マクドナルドのように「なんでもあり」にはなっていない。無人レジも今の所は導入されていないようだ。Wi-Fi導入、電源コンセント設置などの長居対応も見当たらない。いわゆる接客正面部分では、コロナ前と運営方法に大きな違いはない。
ただ、客の方がそれで良いと思っているとしたらどうだろうか。安全安心も含め、運営方法を大きく変更しなくても、顧客満足度が高いとすれば、つまり客離れが起きないとすれば、DXの意味合いが変わる。
元々、サイゼリヤは店内店外の運営方法、経営技術をギリギリまで磨き上げて低価格を実現している稀有な業態だ。そもそもDXなどと騒がれる前から、運営技術は人の手をできるだけかけない方向に進化していた。
サイゼリヤという革新業態には、いまさらDXなど不要だということなのかもしれない。ただ、真似をできる企業は少ないだろうなあ。

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