書評・映像評

シン・ウルトラマン観察録

Photo by Daisy Anderson on Pexels.com

ウルトラマンの画像は版権があり使えませんので、権利フリー画像を怪獣で検索したら出てきた写真がこれ。日本人とはセンスが違うなあ。

ウルトラマンの新作というか新解釈された映画がヒット中らしい。制作はシン・ゴジラのチームだから、その作風というかテイストも似たようなものになるのだろうとおもって、のこのこと平日の朝イチの回を見にいってきた。埼玉の片隅の街の映画館なので、予想通り館内は空いていたが、これまた予想通り観客は高齢者がほとんどだった。空想特撮映画のはずだから、客層はドラえもんと似通った親子連れになる……とはいかないようだ。リアルタイムで初代ウルトラマンを見ていた世代も今や還暦越えをしているのだから、この映画もオールドファンが中心になるようだ。最近の青と赤がシンボルカラーになった新型ウルトラ一族を見ている若い世代には、興味をひかないテーマであるようにも思う。タイトルに惹かれて内容を吟味しないまま、小学生が勘違いして見にくることもあるかもしれないが、それはウルトラマンとの出会いとしては相当に不幸なことになる。小学生を連れてくるであろう親たちも、自分の見てきたウルトラマンとの差異に違和感を感じるはずだ。

現在公開中の映画なので、ネタバレをするとよろしくないとネットのあちこちで大騒ぎになっているから、ネタバレはしないようにするが。
シン・ゴジラと同じでリメイク作ではない。出現世界の設定を微妙に変化させ、屁理屈が成立する世界を作り出している。例えば、なぜ日本にだけ怪獣が出現するかとか、無数にある星間文明社会の先進星域からくる侵略者たちはなぜ地球に攻めてくるのかとか、いろいろな何故?に答えようとしている。
シン・ゴジラや平成ガメラシリーズで貫かれているのは、怪獣映画でさりげなく「ある(存在する)こと」になっていて説明されない、「理由」を現実社会に合わせて説明しようという姿勢だ。例えば、本当に怪獣が出現したとすると政府はどう呼称するかだ。不明巨大生物的な発想になることは間違いない。コロナの対応を見れば政府がいかに臨戦能力、即時対応能力に欠けているかは簡単に理解できる。
また、対応部局がどこになるのかも揉めるだろう。怪獣が生物であれば、厚生労働省になるが、被害をもたらす害獣であれば対応は警察の範疇になる(はずだ)。よくテレビニュースで出ている、熊の捕獲、猿の捕獲は警察のお仕事になっている。ところが警察の捕獲能力を超える暴力的存在になれば、治安維持から国土防衛任務が変わるので防衛省、そして実戦部隊として自衛隊の出動になる。ところが、最初の脅威度が不明の時期は、防衛出動の指揮系統と発令者があやふやだ。おそらく台風や洪水と同じで、最初の段階は県知事からの依頼になるはずで、そこで人死を含め被害が拡大すると、初めて政府管掌案件になる。それでも最高指揮官である総理大臣が防衛出動命令を出す度胸があるかというと、地方都市の壊滅程度の被害が出ないと閣議決定にならないだろうし、野党は「他国の軍事介入、それも核使用の可能性」などと言い立て反対するのは見え見えだ。
実はこの辺りのリアルをもっと見せて欲しかったと思うのだが、映画の中では裏設定としてさらっと流されている。それに、作中内では予想以上に陸自のパワープロジェクションが有効で、シン・ゴジラの山手線暴走作戦よりよほど役に立つメインパワーセクションとなっていた。

全体的にみて、やはりリアルタイム・ウルトラマン(初期再放送を含む)視聴者、要はおっさん世代が、ニヤリとしながら見る映画なのかなと思う。世代ごとに楽しみ方はあるだろうが、初代ウルトラマンの複数放映回がオマージュの題材とされている。当然、初代ウルトラマンを見たことを前提に楽しむようにできている。
初代をリアルで見た世代も、是非一度テレビ放映されたシリーズをレンタルでも良いから全巻見た後で、特にゼットンとの戦いを確認して記憶を取り戻した後で、見ることにすれば何倍も楽しめる。
特にウルトラマンはその前作のウルトラQとの関連付け作品もあり、できればウルトラQも見直しておいた方がもっと楽しめる。

やはり、シン・ウルトラマンはウルトラマンへのオマージュでありながらも、「シン」の意味は「真」ではなく「新・解釈」なのだろう。もちろん、新解釈には「エヴァ」的要素も随所に盛り込まれている。
もう一つ、映画の中身とは別件の感想として、長澤まさみが演じる女性隊員?役は、初代の富士隊員の方が良かったなあと懐かしんだ。ジジイになった証拠だな。
個人的には シン・ウルトラマン>シン・ゴジラでありました。

映画のサイトはこちら→ https://shin-ultraman.jp

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