食べ物レポート, 小売外食業の理論

山田太郎の進化

昨年夏に開いた山田うどんの新規業態、埼玉タンメン山田太郎を時々観察に行く。地元ということもあるが、埼玉タンメンなる造語までした新業態がどう進化していくのか楽しみにしているからだ。2号店は川島(関越インター近く)に開いたので、そちらもそのうち見学に行こうと思っている。新業態の2号店は、1号店の修正がなされた増加試作的な形になることが多いので、1・2号の比較はためになる。少なくとも仮面ライダー1号2号程度の差はあるはずだ。

今回の気づきとして一番の変化は、メニューブックとスマホ注文を併用していたのが、タッチパネル注文に代わっていたことだ。開店時から非接触型のコロナ対応店舗だったが、どうやらスマホオーダーが不人気だったようだ。麺を主力とする業態だけに、中高年男性が多い印象があるが、その客層が問題の原因だと思う。何度か来店して観察していたが、いまだに携帯電話を使っている男性客が多いこと。そして、スマホを持っていても口頭で注文する面倒くさがりが多すぎるようだ。
タブレット式注文はその解決策だと理解できるが、やはり学びはあるようで「紙」メニューがテーブツの上に置かれている。ブック型ではなくペライチというのが、対応客層が誰かを連想させる。一覧できる一枚メニーはファストフードでも多用されているが、メニューが多くなると目移りがして選びにくい。その辺りもレイアウトで工夫しているのがわかる。(元ファストフード従業員としては、もう少し工夫の余地がありそうな気もするが…)
この紙とタブレットの併用策は客層に合わせた柔軟な対応と考えられるが、印刷物の用意は時間もかかるし、単店ではコストがバカにならない。できればタブレットに一本化したいだろうが。まだ試行錯誤中ということか。
また、タブレットはあきらかに一覧性が悪い。いくつかあるメニューからどれかを選ぶとなると、一覧性の悪さは「使い勝手が悪い」と客の不興を呼ぶ恐れがある。この店のように中高年男性が主客層になる場合は客離れの原因にもなりかねない。

すでにコロナが収束しつつあり(感染者数の減少より社会的認識として)、アフターコロナの外食ビジネスがどういう運営方法に落着するのかが目先の課題だろう。外食各社の思惑で「百花繚乱」状態から、どのやり方が定着してくるか。業界標準が定まるには、もう少し時間がかかるようだ。
埼玉タンメンは山田うどんの系譜につながる、テーブルサービスのファスト提供というユニークな業態なので、進化の行方が楽しみでしょうがない。

今回の新商品はトマト味のタンメンだった。トマトスープのラーメンは先行業態があるが、そこのトマトラーメンとは全然違う。埼玉タンメンのスープをベースとしてトマト味に仕上げたものだが、全体的に印象のぼんやりとした味になっている。イタリアンを意識したのか、あるいは先行形態のトマトラーメンを狙ったのか、粉チーズをかけて食べる仕上がりになっている。当然、チーズの旨味成分と塩が加わって完成形になるという、合体方式の麺料理らしい。ただ、それであればチーズが別提供、後掛けではなく提供時から合わせたものを出すべきだろう。
チーズなしで食べるとスープの味が薄く、麺料理として完成していない気がする。ちなみに、薄味が気になって卓上にある醤油とニンニクを追加してみた。予想通りスープの塩味が足りていないのが醤油で補われると旨味を感じる。ニンニクが入いると「イタリアンなトマト味」に変化した。味変を楽しむという意味では、面白いベースだと思ったが、それが狙いでもないだろう。
まあ、色々な試行錯誤の中から「ヒットメニュー」も出てくるのだろうし、あれこれ新しい味を楽しませてほしい。
次に行った時には何が起こっているだろうか。実に楽しみだが、進化速度をもっと早めても良いような気がする。アフターコロナの生存戦略の一つは「変わり身の速さ」だと思うのだが。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中