
あちこちに旅をして地域の土産物を買うと、その時期やその地域の文化や社会問題に突然ぶち当たることがある。土産物を買うのに政治問題など意識したこともないが、たまたま今回は頼まれた物を買うので、間違いがないようパッケージをしっかりと確かめたせいで気がついた。
「ぽてコタン」という商品名だが、最初は何も気がつかなかった。コタンはアイヌ語だ。集落・村という意味だったと記憶している。つまり英語のポテトとアイヌ語のコタンから作られた造語の商品名だ。じゃがいもと玉ねぎが集まった・・・みたいな意味を込めているのだろうか。コロナの感染拡大が始まった頃に開園した、北海道白老のアイヌ文化伝承施設「ウポポイ」のロゴがあしらわれている。北海道を挙げてのアイヌ文化復興支援みたいなことらしい。
日本国政府が重い腰を上げ、アイヌ民族を先住民として認め、その文化保存に渋々乗り出したのは画期的なことだと思う。国連機関に非難されたことがきっかけだとはいえ、何も認めない、やらないより100倍マシだ。北海道が舞台の大人気コミック「ゴールデンカムイ」のヒットのせいで、北海道限定のコラボ商品も数多くある。(サッポロビールのコラボビールはなかなか良かった)
北海道内では好意的なムードが広がっているような気がする。ただ、それが道外観光客に伝わるものかどうか。小さな積み重ねが社会を少しずつ変えていくと期待するしかない。SDGsもカーボンニュートラルも大事だが、こうした足元にある問題にも目を向けていこうという「社会的に正しい企業行動」は是非続けてほしいものだ。
ただ観光土産のほとんどに、こうした社会問題を考え始める「サイン」やら「提案」やら「支援」やらがあると、それはそれでちょっと息苦しいかもしれないなあ。
ウポポイとは「おおぜいで歌うこと」という意味だそうだ。白老にある文化施設のホームページに書いてある。
https://ainu-upopoy.jp/facility/upopoy/