街を歩く, 小売外食業の理論

ファサードの魅力と吸引力

札幌狸小路の話を長々と続けているが、実は今回の札幌探索で一番気になった店を狸小路で発見してしまったのが原因だ。何度も書いているが、狸小路の西端は建物がどんどん潰れて、駐車場になったりホテルになったりしている。新陳代謝が激しいと言えばそうかもしれないが、新しくできるレストラン、食べ物屋のほとんどは新築ビルに入居するわけではない。古くて小ぶりなビル・建物にひっそりと開店するのがほとんどだろう。
だから、ビルの2階にある店舗も多い。数少ない狸小路歩行者を店内に引き込むべく、外観のデザインやpopなど工夫している店が多い。だから、都心中心部を歩くより狸小路のはずれを歩く方が、今の札幌で店をやろうと思う若い衆の意気込みが感じられると思っている。そんな街歩きの中、数ある新進気鋭の店舗群の中で、一番目を引いたのがこの店だった。
ちなみに「点と線」は某有名推理作家の出世作の題名と同じだ。何か、その小説と関係があるのかもしれない。勘ぐれば、点と点をつなぐ線みたいな意味で、つながりとか共生などを考えているのだろうか。店名だけであれこれ考えさせられてしまう。

どうやらカレー屋さんが始めたラーメン店のようだが、「新しい麺料理のカタチ」と真面目な宣言をしている。デザインセンスはなかなか優れものだと思う。ただ、ラーメンが退色しているように見えるので、その点は気になる。
ああ、このラーメン食べてみたいなと思わせる説得力がある。コピーもシンプルだが力強い。このデザイナー、センスがいいなあと感心した。

入口横メニュー看板も一点豪華主義といいうのが良い。ついついフルメニューを乗せたくなるのが入り口看板だが、その誘惑をしっかりと退けている。いいぞ、いいぞと思う。
おまけが、地面に置いた行灯だ。夜になり灯りが入れば、これは実に効果的だ。この手の地面に置く行灯は京都先斗町や東京神楽坂でたまに見かける。夜に特化した「ハイセンス」POPだが、使い方が難しい。それをラーメン店でよくやり遂げたものだ。
次回の札幌では、この店を外すわけにはいかない。店内の姿にも期待が高いが、おそらくラーメンのビジュアルも相当にハイレベルでフォトジェニックな仕上がりになっている気がする。
レストランは見た目が8割、ということを理解している人は少ない。見栄えが悪いが味はうまい食べ物など、極めて稀な存在で天然記念物級のレアものだ。それと同じで、レストランの良し悪しは入り口で8割方決まっているものだ。初めて入る店は入り口で決まる。嫌な感じがしたら、決して中には入らない。意外とお店をやっていながら、このことに気がついていない店主・経営者は多いようだ。うちの食い物はうまいはずなのに、なぜか客が来ないという傲慢な店主は、入り口で客を惹きつけないどころか排斥していることに気がつかない。その意味でこの店は必見の一軒だと思う。

繁盛店を作るには、店名とファサードがとても重要なのですよ。 

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