街を歩く

ラーメン今昔 

今風のラーメンというのは、既に麺類の域を越え「ラーメン」という新しい日本料理の部門を作り出している気がする。昔々の中華料理店で提供されていた麺類、汁麺という範疇から大きく変化、進化しているからだ。

新世代ラーメン 飛燕 千歳空港

業界的な話で言えば、今のラーメンと昔のラーメンは原価率が全く違う。昔のラーメンは安い素材を調理人の腕前でおいしい麺料理にするという、ある種マジックがあった。だから、下手くそな料理人が手を出すと不味くて食えないというラーメンも存在していた。そんな不味いラーメンを懐かしむ人はいないだろうが、それくらいラーメン屋によって味が異なっていたものだ。昔のラーメン屋には安かろうまずかろう的世界が存在した。
ところが、今のラーメンは明らかに高原価主義であり、原価をかけた分値段も上がるという高級麺業態になっている。麺もスープもトッピングもしっかりカネをかけているのだから、不味くなるはずがない。
それだけに高いお値段で周りのラーメン屋と差別化するには、色々と独自性を押し出す必要がある。うまいもの同士の競争なので、なかなかシビアなものだ。差別化の広がりは店内の内装や雰囲気、従業員のユニフォームなどあらゆるところに広がる。
結果として、高級ラーメン店は似たような店作りに収斂していく。店内は暗めで落ち着いた高級感志向になる。従業員も麺職人というよりシェフ的な見え方になる。街の中華屋ムードはどんどん減少していく。これがラーメン屋かと思う店にまで進化する。
味は濃厚、スープは素材からこだわった本格志向、チャーシューも製法や使用部位を変えた二種盛り、三種盛りへと進化する。ラーメン一杯が1000円を超える時代が到来した。

ありし日のラーメン 萬字醤油屋本店 萬字ラーメン

その反対側になるのが、昔ながらのラーメンを提供する「老舗」や「二代目」をなのるオールドウェーブ・ラーメン店だ。味は昔のままにするということが基本だが、一概に高齢者対応とは言えない。昔(昭和)は平成生まれにとって既にレトロであり、平成の反対側にある不思議世界という位置づけだ。
だから、昭和創業のラーメン屋は、それだけで支持を受けたりする。味が今風でないことが有利に働く、計算外のプラス要素もある。そこにもう一歩踏み込んで、レトロ感を加速させると「新・コンセプト」として成立し始める。

店内の装飾に「なつかし系」を置くと、高齢者にはなつかしの空間が生まれる。若年層からは、自分の生まれる前の異空間であり、共感がないが興味はあるという雰囲気に映るのだろう。
スポーツカードならぬ力士カードや、自分が見たこともないキャラクターのセルロイド人形など、ひょっとすると親子二代で楽しめる空間なのかもしれない。
アッパーなレストラン化を目指す現代ラーメン店と、昭和レトロを訴え二世代をとりこむコンセプトレストラン化を目指す旧世代ラーメン。どちらがアフターコロナ世界で生き延びることができるか、ちょっと楽しみなのだ。

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