
札幌駅高架下は細々とした商店が続く裏小路的な空間だ。その西のはずれにあるラーメン屋は、それなりの歴史のある名店だった。ここ最近は伝統的味噌ラーメンが食べたくなると、この店を訪れることが多い。味噌ラーメンといえば三越の向かいにある文具店ビルに店舗を構える「三平」が元祖らしく、そちらの味噌ラーメンも捨てがたいが近くて便利な方に足が向く。
個人的な嗜好であるのは間違いないのだが、豚骨系のコッテリスープは「味噌味」には合わないと思う。昔ながらのあまりコラーゲンの入っていないサラサラ系スープが味噌ラーメンには好ましい気がする。

見た目通りの味噌味のラーメンにホッとする。この店はチャーシューも売りらしいのだが、そこにあまりありがたみは感じない(失礼な客だと反省しつつ)。やはり麺とスープのバランスというか、中太よりやや細めのちぢれ麺がスープによく絡むのが旨さの原点だと思う。これこそが札幌ラーメンだろうと、自己満足的に納得する味だ。

ラーメン屋の品書きとはこうだったはずだと思わせるシンプルさ。味は味噌・醤油・塩の三種。麺の選択なし。茹で加減の選択なし。ただし、この品書きには載っていないがチャーハンがある。品書きの上に貼られた「大人気のチャーハン」と書いてある。どうも、ラーメン屋なのに炒飯の方が人気らしい。隣の客はラーメンと炒飯をセットで注文している。反対隣の客はチャーハンのみだ。
胃袋が二つあればなあ、とたまに思うが、まさにそんな状況で、ラーメンも炒飯も食べたいのだが胃袋の限界は理解している。次回は「チャーハン」にするかと悔し紛れに自己弁護する。でも、次回もまたラーメン頼んでしまうんだろうな。永遠に炒飯とは巡り会えない気がする。うまいラーメン屋特有のエレジーというべきか。