
札幌の繁華街といえば、昼は大通り公園付近、夜はすすきのと決まっている。それ以外のプチ繁華街といえば、地下鉄の元・終着駅であった琴似(東西線)や北24条(南北線)があたる。地下鉄が延伸するまでバスセンター機能があり、地下鉄からバスへ乗り継ぐ客相手にそれなりの繁華街ができていた。
琴似の地下鉄駅周辺には当時の名残も含めて、居酒屋やレストランが多い。すすきのと違うのは飲食主体の店がほとんどで、接待主体の店はススキノでお楽しみくださいという棲み分けになっていることだろう。
昔は接待主体の店もあったようだが、今ではすっかり駆逐され住宅地の飲み屋街となっている。近くにオフィスがあるサラリーマンの、わざわざススキノまで飲みに行くのも面倒臭いね的な需要を満たしているようだ。
帰りのタクシー代も安いし・・・という世知辛い懐事情もありそうだ。

刺身が売りの店なので、店頭の看板も「サカナ推し」だ。大手チェーン居酒屋で出てくる刺身とは正直にいって一段二段はレベルが違う。最近不調が伝えられる居酒屋業界だが、やはり質と価格をバランスさせている店は強い。大手居酒屋チェーンが提供していたサービス・商品は、結局のところ食べ物ではなく「場所の時間貸し」だった。食の楽しみを無視していたとまではいわないが、商品に力が入っていなかった。だから、大手居酒屋の不調とは、コロナの時代には「食事を求める客」はいても「時間貸しの場所」は必要とされなかったというのが原因だろう。
今では「おいしい食べ物を」「少人数で」というのが客の求める形だ。店舗運営するものが、その意識変化を十分理解して店舗運営をどう変えられるかが、生き残り条件となった。大人数の宴会が復活するには、この後何年もかかるだろう。それまで待ってもいられないだろうし。

地元の魚が中心の刺し盛りが良心的な価格で提供される。マグロやイカが入っていないのは、このご時世で立派なものだ。個人的な意見だが、海なし県以外では自分の周りの海で採れたものを食べていれば良いのではと思う。群馬や長野でマグロの刺身を食べたいと思わないが、そもそもマグロも近海で揚がったものを地域名産として食べていれば良いのではと思う。サーモンも大西洋から空輸して食べなくてもよい気がするのだが。

最近ではすっかり漁獲量が減ってしまった、元・大衆魚?のイカ加工品、「イカペン」というらしい。イカのすり身を棒に巻いて焼いたもの、というか「イカのつくね」みたいなものというか、形容が難しい。
イカのハンバーグっぽい感じがする。マヨネーズをつけて食べるのがおすすめらしい。イカ好きにはなかなか嬉しい食べ物だった。お値段は微妙で、焼き鳥串の2倍程度だから高級串になる。
ススキノの真ん中でこういう「当たり」の店を探すのはなかなか難しい。おまけに「当たり」の店は大体混雑していて予約が取れないこともある。だからススキノを外してちょっと札幌市の郊外に寄れば、まだまだ隠れ名店は多い。グルメランキングには出てこない「口コミ」の世界も捨てたものではないのだよ。