
吉祥寺の町はいつの時代も若い人たちに人気があるようだ。自分が若かった頃から人気の町だった。駅前の比較的狭い所に飲食を含めた店舗がごちゃごちゃと存在し、アーケード内では地元の老舗が存在感を示している。大手百貨店や専門店ビルも存在する新旧、大小ブランドの混在が魅力なのだろう。JRで新宿へ、井の頭戦で渋谷へ直通しているという地理環境も後押ししている。
その吉祥寺のアーケード街で、古手のチェーン寿司屋がイメチェンしていた。コロナで大被害を受けた外食産業では規模の代償に関わりなく事業再編が全力進行中で、この寿司屋も「親会社」が変わった後、店名も変えさせられてしまった。旧店舗はなかなか好みだったので、名前が変わっても使い続けたくなるような店であって欲しいと、ちょっとだけ応援しようかと・・・。

そのアーケードの片隅でお茶を買いに入ったコンビニで見つけた「0秒」商品。この分野は既に有名な「ベビー」が存在していたと思うのだが、それと真っ向勝負的な新商品だ。そもそも、ベビーな方は、この黄色い奴に対するニッチ商品みたいなものだと思っていただけに、本物というか大物がニッチを叩きにくるという構図にはちょっとびっくりだ。
国内最強のインスタント麺ブランドが手を出すには、あまりにニッチな・・・すきま商売だと驚いてしまった。それをまた、コンビニ最強ブランドが「全面推し」らしい。コンビニにあるまじきエンド陳列で上段二段抜きとは、これまた何ともえげつないパワー商法だ。コロナで時代は本当に変わったらしい。弱肉強食どころか弱小殲滅の時代がやってきた。
街角で見る「死闘」の光景だった。吉祥寺も優雅なだけの街とは言えない。ライオンとハイエナで完全にしゃぶり尽くされる捕食状らしい。

それでも、アーケードを抜けて百貨店の裏手の隠れレストランがあるあたりに行けば、何やら優雅さが戻ってきて「吉祥寺らしさ」みたい看板が目立つようになる。ワイン食堂とは、これまたずいぶん昔に流行った気がするが、たのしい店内と素敵な料理が想像できる。これが夕方だったら間違いなく飛び込んでいたと思うのだが、あいにくランチタイムでちょっとのぞいた店内は女性客で満席。どうにもオヤジが一人で入る雰囲気ではなかった。

ただ、その看板を横から見れば、ワイン持ち込みOKということで、ここにもコロナの後遺症を発見した。レストランは基本的にワインを売って儲ける商売なので、そこを放棄したということは、どれだけディナーの商売がうまくいっていなかったかという証明だと簡単に推測できる。客からすれば、店内で注文すれば1万円を超えるワインが、半額以下で飲めることになる。自分で利用するとしたら、最低でも赤白1本ずつを買い込んでいくだろうなと思う。
店側からすれば、ワインを安くした分だけ料理に金を使って欲しいとか、月に2回来てくれないかとか、淡い期待は抱くのだろうけれど。確かに徒歩圏に住んでいれば月2回はありかもしれない。ただし、一人で行くことの方がはるかに多くなりそうだ。
やはり次回は夜の吉祥寺にしよう。