街を歩く

不思議な場所のパン屋

埼玉県北西部、キャンプ場のセンターハウスの中にパン屋がある。食堂の一角にこじんまりと設えられたベーカリーというより、パン売り場といった感じだが、なかなか意欲的なパンが並んでいる。

店名もなんだが物々しい感じがするが、看板を見ていて気がついたのが、この奴隷とはパンを買いに来る客のことのようだ。小麦らしきものを持って前を歩く農夫?に後ろから跪いて縋っているのが客だろう。おいしいパンを求めて、客が奴隷化するというコンセプトなのだろうか。諧謔、皮肉、色々と考えさせられるが、米食い民族の中でパン好きを宣言する「裏切り者」的な意味合いもあるのかもしれない。
ちなみに、日本人の主食が米であることは間違いないが、小麦の消費量は米の8割程度なので、米と小麦の差は僅差のワン・ツーフィニッシュ程度だ。米が主食なら、麦は準主食の位置にある。ただし、麦にはうどん・ラーメンなどの麺類消費も含まれるので、パンが準主食というのは厳しい。

このパン屋は北海道十勝にある小さな町に本部を置くフランチャイズシステムで、全国展開を図っている。ローカルな小商圏でも成立する日常使いのパン屋を目指しているらしい。大都市部では、有名なチェーン店が百貨店や大型食品スーパを中心に展開している。最近のスーパーでは、インストアベーカリーが常備され、惣菜部門の売上増強の絶対手段となっている。だから、都市部では焼き立てパンの需要も供給も高いレベルだ。そこから取り残されている田舎町、小さな町でもパン屋を成立させる取り組みとして、あえて地方展開をしているようだ。商売としてはありそうでなかったコンセプトだと思う。
おそらく、生地とレシピーの提供がフランチャイズ本部の仕事だろう。こういうやり方は、すでに大手のチェーンパン屋でもやっているはずだ。それを、少人口地域で成立させる仕組みとして開発したところに「新しさ」がある。
パンの種類は豊富だった。ネーミングも含め「都会らしさ」みたいなものを感じる。食パンとコッペパン、メロンパンとあんぱん、うちのパンは以上! みたいな限定メニューではない。多品種少量生産で単価を引き上げるという戦術も理解できる。田舎町だからできないと言い訳を並べ立てるのではなく、都会のパン屋とほぼほぼ同じと言い切れる業態をどう作るか。「田舎ビジネス」の教科書に載りそうな事例ではと思うが、成果は一年後の判断だろう。一年経って儲かっていれば、この近くの街にも支店が開くはずだ。アフターコロナの元気印になってほしい。

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