立ち食いそばというのは、日本的ファストフードであり、B級グルメどころかC級グルメだよなと思いつつ、サラリーマン時代は実にあちこちでお世話になった。お気に入りの店の蕎麦であっても、決してうまいとは言えないのだが、何度も何度も行ってしまう妙な魅力がある物だった。
ここ2年ほど、コロナによる社会変動で立ち食い蕎麦はずいぶん閉店してしまったようだ。外出が減ったこともあり、どこかに行ったついでに立ち食い蕎麦を食べるという機会もなくなってしまった。
これでは日本から立ち食い蕎麦屋が消えてしまうという、個人的な危機感もあり、最近は外出先で立ち食い蕎麦屋を見つけると、応援と称して蕎麦を食べることにしている。おやつ代わりに蕎麦を食うというのは、ちょっと健康面を考えると「いけない」行為のような気もするが・・・。

西新宿のJR山手線沿いに広がる「思い出横丁」は、焼き鳥や中華料理や居酒屋が密集している怪しい地帯だが、その中に座る「立ち食い蕎麦」がある。どうやら立ち食い蕎麦愛好家には有名な店らしい。カウンターだけの店だがスタンド式の椅子席なので、立ち食いではない。ただし、カウンターは屋外に露出しているので、背中は風にさらされている。冬は寒いし、夏は暑い。個人的には、夏にこの店を使う気にはならない。裏路地にありジトっとした熱気がこもる場所だ。熱い蕎麦を食べるなど、なんの罰ゲームだと言いたくなる。気温が下がった秋から春にかけての限定利用だ。
蕎麦は結構まめに茹でているので、ほぼ茹でたてに近い。つゆは甘すぎず、辛すぎず「普通」レベルだ。かき揚げも店内調理のようで、ぼてっと厚みがあるタイプだ。カリカリ感はない。ちょっとふやけている感じがするが、立ち食い蕎麦のかき揚げはサクサクさを楽しむというより、蕎麦つゆに漬け込みつゆを吸ってふやけてきたものを楽しむ物だと思っている。だから、ふわふわかき揚げには何の問題mのない。
ああ、これが立ち食い蕎麦の楽しみだな、などと思いながらずるずと蕎麦を啜っていたら、隣に来たお兄ちゃんが「天そば、ネギマシ」なる注文をしていた。
「ネギマシ?」と疑問に思い、横目で隣の注文を見ていたら「ネギが山盛り」になって出てきた。つまり、ラーメン屋のネギラーメンみたいな物で、今のご時世ではネギも追加トッピングになるらしい。
自分の中の立ち食いそば世界では、ネギはカウンターの容器に山盛り入っていて、勝手に好きな量を自分で乗せていくイメージだった。丸亀製麺などもネギとりはセルフスタイルだが、西新宿では追加のネギが有料になると思い知らされた。
まあ、立ち食いそばのスタイルに標準なんかあるはずもないし、どの店も自分のやり方でやっていることに文句はない。ただ、追加トッピングに「ねぎ 〇〇円」と書くことだけはお願いしたい。ちなみに、追加かき揚げは100円で、ネギ増しは30円みたいだった。(未確認)
次はネギ増し増しで頼んでみようかな。