街を歩く

日本一高い土地で飲むビール

テレビのニュースでたまたま見た土地の価格ランキングで、今年も全国トップだった銀座山野楽器本店前。これは三越側から撮った写真だが、左手のビルが木村屋、そして和光なので、まさに銀座の中心地という場所だ。その日本一高い場所でピアノを売っているとかバイオリンを売っているというのは納得できる。しかし、その隣があんぱん元祖の木村屋で、今でもあんぱんを売っているのだから、銀座という土地は不思議だ。
木村屋も税金払うためにあんぱん売っているという感じの商売だろう。この場所で普通にパンを売る商売をして儲かるとは思えない。一個5000円のアンパンであればなんとかなるかもしれないが、木村屋のあんぱんは自分でも「普通に」買えるレベルだから、超高級パンとは言えない。カレーパンとアンパン2個買って、1000円でお釣りが来るレベルだ。ただ、品質は最高級で安心できる。ここのアンパンを食べると舌が奢ってしまい、コンビニのあんぱんでは満足できなくなる「危険物指定品」なのだ。

記憶の中では、日本で一番高い土地とは銀座鳩居堂前だった。いつから地価の設定地点が変わったのかは知らないが、この場所も山野楽器とさほど変わりがあるわけではないだろう。和光の交差点を渡った先という違いだけだ。鳩居堂も一度中に入った時に、こういうものを売っていて儲かるのだろうかと思ったものだ。高級な和風文具はそれなりのお値段だが、それでもなんとか自分でも手に届く値段だった。和紙や書道用品やお香といった「雅」な世界のお道具には、ほとんど縁がないが。

そんな「高い地価」の銀座で飲食店をやっていくのはさぞかし大変だろうなといつも思う。だから、ビール中瓶一本が650円也といわれれば、銀座だからなと納得してしまう。まあ、この値段で売れば、商売としてなんとかなるかもなあという気もする。
だいたい普通の居酒屋でビール中瓶は500円程度だろう。つまり、銀座価格とは一般の相場より3割増しという感じになる。瓶ビールの原価は日本どこでもほぼ同じだから、3割高く売れれば、これは相当なぼったくり商売と言っても良い。
逆に中瓶650円で売れる飲食店の方が限られる。いわゆる空間料、座っていくらという商売に近就なければ無理だ。
銀座を利用する人が、その高価格を受容するというか、「銀座だしね、仕方ないよね」と諦めてくれるから、銀座で飲食店が成立するのだ。銀座で飲んでも、新宿で飲んでも、ビールの味に変わりはないが、「まあ、今日は銀座での飲んでいるんだし、俺って結構すごくねー」的な自己満足が銀座料金を正当化するのだろう。
ちなに円安のせいもあり、今や銀座のビールは上海や香港で飲むビールの半額くらいのはずだ。外国人観光客が押し寄せてきていたのは、自分の国で飲むより銀座で飲む方が安いという、真っ当な価値観のせいで、決して日本が良い国だと思っていたわけではないと思う。
日本国行政府は「おもてなし」などと言って日本人の優越感と情緒をくすぐっていたが、インバウンド観光客からすれば「滞在費の安い国」程度だったのではないか。所詮は、観光事業で外貨稼ぎをするしか無くなった貧乏国対応だっただけだ、と今更ながら銀座で思った次第。ビールもほろ苦くなるわけだ。

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