食べ物レポート

回転寿司のマーケティング分析 その2

邪道の極地 塩辛軍艦

回転寿司では「軟体動物」しか食べないのが基本姿勢だ、と威張るほどのことでもないが、赤身に白身、光り物みたいな定番寿司ネタにはほとんど興味を惹かれない。せいぜいシメサバによろめくくらいだ。特に最近は、外食の規制状況に文句があることもあり(ほとんど八つ当たりみたいなものだが)、回転寿司で邪道を極めるつもりで、あれこれ「変な」注文をしている。
今回はスタートを塩辛軍艦にしてみた。ところが、酒のつまみとしてはこれが最強であることに気がついてしまった。握り鮨で酒を飲む、つまり米と魚を合わせたものが酒の肴になるはずなので、塩辛と海苔の組み合わせが「美味くないはずがない」という屁理屈を捏ねて頼んでみただけだった。
しかし、世の中なにがおこるかわからない。この塩辛軍艦は熱燗に最強のつまみだった。これ以降、回転寿司でのベスト・アペタイザーとして「塩辛軍艦」およびその親族を認定することにしよう。
実は、ひっそりと思っていることだが、回転寿司屋で軍艦巻きバリエーションこそ食材原価を落とす切り札のような気がする。最近ではラーメンなどの麺類の原価低減効果も大きいようだが。やはりファミリー向けとして定番コーン軍艦を筆頭に、ハンバーグ軍艦やカルビ軍艦など、今や魚より肉が食いたいという層を惹きつけるフラッグシップメニューになっている。これが、ヤングファミリーを引き入れる原動力であり、同時に原価率低減に寄与している。今や、回転レーンで回っているのは、ジュースやデザートと、この手のファミリー向け新興軍艦巻きばかりだ。
その軍艦巻きバリエーション作戦でも、変化球というか、地平線ギリギリのメニューで登場しているのが塩辛軍艦だろう。ジジイしか食わない「特殊メニュー」だと思うし、大手チェーンでは無視されている日陰者だ。

続いての注文品は、前々から好物だった「茶碗蒸し」だが、これを第二のアペタイザーとして認定した。実はチェーン居酒屋で茶碗蒸しを頼むと、価格と全く合わない低給品が出されることにうんざりして、茶碗蒸しを頼むのは控えていた。
それなりのお値段のする高級店であれば、茶碗蒸しは料理人の腕前が光る名品だから、余計にチェーン居酒屋の茶碗蒸しの手抜きっぷりが鼻につく。ファミレスでも茶碗蒸しの質は誉められたものではない。まして、回転寿司だし、二百円だし、みたいな変な思い込みがあった。
だが、なんと回転寿司大手三社を含め、回転寿司業界の茶碗蒸しは、どうやらかなり高水準に進化したようだった。きっかけはクラ寿司のランチセットの茶碗蒸しだった。おまけでついてくる茶碗蒸しだからな、と最初は小馬鹿にしていたが、びっくりするほどレベルが高い。感服した。
そのまま、片っ端から各チェーン店で茶碗蒸しを食べまくったが、1番のお気に入りは「がってん寿司」の茶碗蒸しとなった。結局、寿司以外のものの品位を上げて買い上げ点数を増やすというのが、回転寿司業界ではマストのバリュー戦略だろう。一皿五百円の本鮪とか鮑とかの高級皿路線は、支持層が限定されるので効き目が弱いはずだ。

まるでプリンのようなルックスだが、出汁がしっかりと効いている。しっとりとした味わいとなめらかさが他社のものと比べて一段上という感じがする。思わずおかわりしたくなる。できればどんぶりサイズの「超特盛」みたいなものを開発してくれないだろうか。どうも最近の回転寿司屋は、寿司以外のものの進化が凄すぎる。ファミレスでもこのレベルのものをサイドアイテムにしてくれないだろうか。サイゼリヤだとやってくれそうな気もするが。イタリアン茶碗蒸し、食べてみたい気がする。ハンバーグと茶碗蒸しのセットができたら、週に2回は通いそうだ。ということで回転寿司のマーケティング戦略をまとめてみると、
1)軍艦巻きバリエーションで客層拡大と原価低減を狙う
2)サイドアイテムの高品位化で買い上げ点数アップ、客単価増を狙う
に集約される。これは他の外食企業にも通用する戦略だと思う。

ゲソタンポンは甘だれつき、イカ三種盛りにもゲソ入り

そして締めの寿司は「イカづくし」。特に、この店はイカゲソが提供されている。うまい、うまいとついおかわりをしてしまう。今回も寿司ネタは、ほぼイカ限定だった。ガッテン寿司さん、外道な注文ばかりで、すみませんでした。でも、美味しかったです。

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