
今月の満州 月例メニューは「辛い麻婆豆腐」で、これは試してみなければと、イソイソ本店に出かけた。確かに、満洲の定番麻婆豆腐は甘めというか辛さがないというかマイルドなものだ。だから、ちょっと不思議な、わざわざ「辛い」とこだわる麻婆豆腐に興味があった。
家庭でつくる「麻婆豆腐の素」が普及したせいで、すっかり日本の麻婆豆腐は「お子様」向けの甘いものに変化したと思っている。本場四川で食べたことはないが、大陸で食べた味と比べると、似たような別物であるのは間違いない。パンダとレッサーパンダの違いくらいはある。インド料理屋のカレーと家庭のカレーの違いような「差」はある。
どちらが上だとか、うまいとかいうつもりはない。麻婆豆腐もカレーも家庭料理には子供を許容する優しさがあり、専門店で食べればそれなりに大人の味が楽しめる。料理とはそれでいいのだが、なぜか町中華の麻婆豆腐は家庭の味に寄り添っているのだ。甘めの麻婆豆腐というか辛くない麻婆豆腐の存在が不思議だ。だから、町中華でも麻婆豆腐は甘いので、ラー油をかけて味変がデフォルトな食べる食べ物というのが我が認識だ。
そして、今月の満洲「辛い麻婆」だが、確かに辛味はアップしている。それでも追いがけでラー油が欲しくなるので、中辛といったところだろうか。できれば、これを定番にしてもらって、麻婆 甘辛が選べるようにしてもらえないかなあ。

などと、麻婆のことを考え続けた挙句、日高屋に行って麻婆を頼んだ。比較してみようと思ったのだ。そして結論はシンプルだった。日高屋の麻婆は満州より辛味がアップしている。が、満州の「辛い麻婆」ほどではない。要するにマイルド系麻婆だった。これはこれで酒の肴として食すに良さそうだ。ラー油をかけると味変可能で楽しい。こうなれば、麻婆を連続的に食いまくって「王将」「大阪王将」「ばーみあん」辺りを攻めてみようか。でも、どコマ「甘い麻婆」なのは間違い無いだろうなあ。

麻婆を楽しむにあたり、個人的なおすすめとして日高屋の「半ラーメン」をお勧めする。添え物として食べるにはジャストサイズだ。満洲も麺少なめラーメンがあるが、お値段がそれなりなので、お買い得感があるのは日高屋。
ただ、この発見も、ランチで高齢者が連続4人、半ラーメンを注文しているのが気になっていたからだ。自分で半ラーメンを試してみる気になったのは食い気からでは無い。
おそらく半チャーハンと同じ発想でできた半ラーメンだと思うが、全く別の客層、別の利用動機でヒットしているようだ。追加の半ラーメンではなく、食が細った高齢者にちょうど良い量という需要だ。
この辺りが、量・ボリュームの変化で世代別攻略法があるという典型だろう。甘い麻婆豆腐と量の少ないラーメンに、新メニューを考えるときのヒントがあるような気がする。町中華は学びの場なのだ。