
今年の駅弁大会はなかなかか盛況だったと思うのだが、開催直後から一斉に感染拡大が始まり、なんだか後半は息切れした感じもある。それでも実演弁当はどれもこれもうまそうな気配を醸し出していた。出来立ての駅弁というのも不思議な話なのだが、そこが楽しみといいう人も多いのだろう。

今年の出店の中で、我がイチオシだったのが秋田県から登場した「鶏めし」で、これを買うために駅弁大会に来たといっても良いくらいだ。行列に並ぶと製造工程が見えるので、それがちょっと楽しみだった。鶏めしは将軍ランクにある有名弁当だが、それを超えるアップグレード鶏めしも販売していた。

比内地鶏の鶏めしは、鶏肉の代わりに比内地鶏が乗ったスペシャルバージョンだった。たまたま、この日は比内地鶏の方が人気だったようで、売り切れ中だった。30分ほど待てばできるというので、迷わず予約して店内をぶらついて時間潰しをし、ようやく調達できた。いつもの赤い包装紙ではなく、高級感のある地味目の包装がなぜか食欲を刺激する。高そうだから、うまそうというわけでもないが。

蓋を開ければ、普通版鶏めしと似たようなルックスだが、既に脳内には「比内地鶏=高級鳥」という情報がインプットされているので、情報バイアスかかりまくりで、何やらとてつもなく高級そうな魅力を感じ始めている。当然、一口食べると「うまい」と思う。ただ、頭の片隅で「普通の鳥飯と何が違う?」という悪魔の囁きも聞こえてくる。仕方がないので、普通版鶏めしの写真を引っ張り出してきて比べてみた。
ご飯の上に乗った卵と鶏そぼろはレイアウト違いだがほぼ同じだろう。鶏肉トッピングは明らかに見た目が違う。味も確かに違っていた。一番違うのは、付け合わせのおかずの品数だが、内容はほぼ同一でも、ちょっとしたアップグレード感はある。

鶏肉の好みで言えば、普通の鶏めしの方が気に入っているかも、とも思う。ただし、そこは個人の好みの範疇で、歴然とした味の差があるほどでもないとも思う。それでも、普段口にすることが難しい比内地鶏を食べたという、情報過多で情緒的な満足感はあるから、駅弁としては「比内地鶏の鶏めし」のほうが記憶に残るかもしれない。
どちらにしても、この駅弁「鶏めし」が駅弁自己ランキングでは最上位グループに入るのは決定なので、食べて残るものは満足感だけだ。
あとは、この鶏めしと比較するため、かの有名な「九州のかしわ飯」を食べねばいけないが、博多駅で売っていたかなあ。鶏めしは全国あちこちで販売されているので、鶏めし駅弁行脚でもしてみようか。たのしそうだなあ。