
秋田県大館市の駅弁、鶏めしの包装紙はよく目だつ。駅弁売り場で一眼でわかる「アイコン」性は抜群だ。コレに匹敵するのは、立体造形が見事な「峠の釜飯」と黄色がトレードマークの崎陽軒「シウマイ弁当」だろう。
この大館の鶏めしは新青森駅、岩手駅などでも買える。駅弁大会ではたまに出動している。最近の話題では、パリの鉄道駅で半年間販売されているそうだ。花のパリで日本代表駅弁として活躍している「日本の誇り」だろう。

中身は古豪の風格を見せるシンプルさだ。おかずが二品に漬物が添えられているが、やはりこの弁当の主役は「米」だ。薄い醤油味で炊き上げられたもっちりとした米が主役だ。上に乗っている卵と鶏そぼろと鶏肉とのバランスが絶妙で、米と一緒に卵を食べる、米と一緒に鶏そぼろを食べる。口の中で起こる「マリアージュ」、一体化することで生まれる美味さだ。鶏肉の味付けは甘しょっぱいのだが、コレは単独で食べる。とりの後味が残るうちに、コメだけを放り込む。再びのマリアージュだ。
全国に鶏めしは数多くあるが、個人的にはコレがダントツの一番だ。自分にとっての絶対駅弁だ。弁当の完全調和だ。The king of Ekiben in Japan, The Great Ekiben over the world というものだ。

弁当についていた箸袋を見ていたら、なんとびっくり。横文字が書いている。おそらくフランス語だろう。杉の間伐材を使用した割り箸を提供していると、袋の表側に日本語で書いてあった。
杉箸は香りが良い。おそらくおフランスの駅弁愛好者に間伐材利用というエコと杉の香りのことを説明しているのだろう。駅弁もすでにグローバル化の時代を迎えているようだ。ただ、グローバルになる前にせめて東京駅限定でよいから定期販売してくれないかなあ。