
弘前駅で、「津軽弁」の販売どころで入手した弘前限定の駅弁がこれだ。「津軽弁」(津軽の言葉ではなく、津軽の弁当と言う意味で使われている)販売コーナーでは、青森西部、津軽地方の各地から弁当が集まってくるので、きっちり確認しないと弘前なのに弘前以外の駅弁を購入する羽目になる。それがまずいとは言わないが、ちょっと残念な結果だと思うのだ。販売員の方も、これは手作りでおすすめみたいなことを言っていたので、迷わず選んだ「弘前弁当」だ。

弁当箱の中身は真ん中に4種類のご飯が入っている。紅白の対比が綺麗だが、栗が乗っているおこわもオシャレだし、黄色い卵乗せご飯が1番のおすすめだと思う。左右両サイドには津軽地方の家庭料理が入っている。当然、イガメンチもあるが、甘い卵焼きがイチ推しだろう。
だし巻き卵に慣れていると、この甘い卵焼きはケーキのような甘さに感じる。素朴というのとは少し違う気がするが、料亭の味のようなプロ感がある料理とも違っている。おそらく自分のうちに「お客が来た時のご馳走」とでも言えば良いのだろうか。卵焼きを普段よりちょっと贅沢な料理にしてみました、という感が強い。

弁当売り場の横にあるリンゴのオブジェをチラ見しながら、駅弁を選んでいるのは、なかなか旅情溢れる楽しい時間だった。これは地元の駅前で臨時販売している、横浜崎陽軒のシウマイ弁当を買うのとは随分違う。
駅弁の楽しみは、食べるだけではなく、買うところから始まるのだろう。それが、例えば駅のホームの売店かもしれないし、改札に入る前のお土産屋かもしれないが、いつもと違う光景で、いつもとは違う言葉を聞きながら、駅弁を買うから増幅される幸福感なのだと思うのだ。
飛行機を使った旅とはまた一味違う鉄道旅。これがあるからやめられないんだよね。