ちょっと話は前後するが、新宿酉の市のお話だ。

西武新宿駅の隣に全く気がつかないまま高層ビルが出現していた。工事をしていたのは覚えているが、いつの間にか外壁も備わって、「おや、まあ」という感じでビルができている。歌舞伎町の真ん中にあるゴジラヘッドがモニュメント的な高層ビルと向かい合う形だ。これで西武新宿駅上部構造物の新宿プリンスと合わせて、歌舞伎町の高層ビル三点セットという感じになる。
歌舞伎町はペンシルビルばかりなので、地上げをしなければ高層ビル化ができない。ただ、大多数のビルが老朽化しているので、そのうちに歌舞伎町は50階、60階建ての高層ビルに全部置き換わるのかもしれない。西新宿のオフィスビルより、遊び心がある建物ができると良いなと思う。
気分的にはニューヨークみたいな感じになって欲しい。東洋一(もはや古典的な表現だが)の怪しいビル街になるかもしれない。10階までが飲食店、20−30階がホテル、40階以上が風俗店みたいなビルができそうだ。上層階ほど怪しいテナントが入り込み、魔界ビルみたくなる。最高層は超高級マンションになり、まるで「龍が如く」の世界のような「怪しい歌舞伎町」にならないかと妄想している。

散歩がてらに歌舞伎町からJR新宿駅方向に進むとき、ルートは二つある。靖国通りという幹線路を渡り新宿アルタに向かう地上ルート。もう一つは西武新宿駅から地下道に潜り、ちょっと遠回りになるが新宿駅地下や伊勢丹の地下につながる地下ルートだ。地下ルートは雨が降っていたり、やたらと暑い日には避難路として活用する。この日はお天気が良く普段であれば地上ルートを選ぶのだが、ふと気まぐれに地下に潜ってみた。
酉の市を思い出したのは、新宿駅から新宿三丁目方向に伸びる地下通路を歩いていたときにポスター見つけたからだ。これを見なければ思い出すこともなかっただろう。コロナ前は毎日のように歩いていた新宿だが、最近では月に一度か二度程度くるのがせいぜいになってしまった。
家に引きこもるようになると色々なことを忘れてしまう。おまけにテレビもほとんど見なくなったので、最新情報はネットニュースだけみたいな生活だ。
そうなると、以前は歩き回ることで目にしていた情報が全く入らなくなってくる。街歩きも無駄な散歩だったわけでもないということだ。逆に人の暮らしが家にこもっているだけでよければ、マリ歩きをして無駄な情報ばかり拾い集めていたということにもなるのだが。
などと、あれこれ考えていた。おそらく家に篭りすぎて、皮肉っぽいことしか思いつかなくなったらしい。ダメ人間になったような気がしてきた。イカンイカンと反省した。

という反省の結果、酉の市には意を決して行ってきたのだが、またもやアフターコロナ社会の祭りとは・・・などと考え込む羽目になった。お祭りは、お祭りらしく楽しむべきなのだがなあ。家ごもりの影響は深刻だ。