街を歩く

池袋 歩き回ってみつけたもの

池袋と新宿はどちらも巨大ターミナル駅で、駅の東西に繁華街が広がる東京屈指の「盛り場」であることは間違いない。新幹線の集結する「東京駅」が東京の表玄関だとすれば、JRと私鉄と地下鉄の結集点で裏口的なのが池袋だ。新宿も裏口的な要素は同じだが、中央本線という脱出路があるので、隠れ玄関とでもいう感じがする。東北方面に限定すれば、上野も裏玄関的存在だが、すでに東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線すべてが東京発着なので、没落した裏玄関「上野駅」という漢字だろうか。
新宿で盛り場といえば歌舞伎町で、その外れにあるゴールデン街あたりがアナーキーな場所の代表として相当に有名だ。だが、池袋は街自体がアナーキーだから「ゴールデン街」的な場所はどこにあるかと思ってしまう。少なくともサンシャインが立つ東口側にはない。(一部、昔の名残も残っているが)
西口も、南側はすっかり文教地区っぽい香りがする。ただ、西口の北側が最近メキメキとアナーキーというか無法地帯っぽい匂いがしてきた。無法地帯といっても、あくまで感覚的なもので、犯罪が多いという意味ではない。

その西口北部を歩き回ってみて発見した強烈な看板。確かに、そうですね。100%同意します。と思ってしまった。本当に言葉は人を虜にすることがある。この店には行ってみなければならない、と使命感すら抱いてしまう強烈さだった。

店頭のボードを見ると鶏白湯ラーメンのようだ。開店時間は夕方からで、昼飯時にはおやすみしていた。池袋で酔っ払った後に立ち寄るのも良いが、飲む前に食べに行くかなやみどころだ。なんだか、食い物屋の意地というか矜持というかが伝わってくる、とにかく感動した看板だった。

池袋駅の地下通路は、今でも昭和の雰囲気が残る猥雑な露店が並んでいる。すっかり綺麗になった新宿駅コンコースなどとははっきり異なる薄暗い、怪しげな通路だ。おまけにJR、地下鉄と私鉄が各2路線入り込み超巨大地下迷路が構成されている。その怪しいダンジョン屋台で発見したクリームパン屋の売り場に思わず立ち止まってしまった。
コロナの拡大の中ひっそりと店を閉じたとはニュースで知っていた神楽坂のパン屋さん。確かにこの店のクリームパンは手土産に持っていけるほど上等なものだった。手に持てば中のクリームの重みでパンが下に垂れ曲がるほどの超重量派のクリームパンだ。人気がありすぎて購入個数に制限があったが、いつもその制限数まで買っていた。一人では一個食べるとお腹いっぱいになるくらいのボリュームだったが、周りの誰かにお裾分けというかお福分けするととても喜ばれた。周りの人を幸せにするクリームパンだった。
復刻版ということで、ついなつかしくて2個ほど買ってしまったが、残念ながらあの懐かしのクリームパンとは全く別の食べ物だった。昔の記憶を懐かしむだけの結果になった。再現するなら、もっと本気で再現度上げてくれよとお願いしたい。

池袋でのぶらぶら散歩に疲れて、一人酒を飲むには実に快適なキャッシュオンデリバリーの居酒屋に入った。コロナ明けでようやく復活して営業再開していた。大振りの徳利に入った熱燗でちびちび飲む楽しみは、酒飲みにしかわからない奇妙な習慣だと思う。喫煙と同じでなくなっても誰も困らない代物だろう。一人酒を文化などと言い張るつもりもないし、社会的弱者の一員扱いされても仕方ない「滅びゆく文化らしきもの」だ。だから、コロナで飲酒の機会を制限されても、それは受け入れるべき社会変容だと思う。ただ、それを誰彼構わずに強制しないでほしい。どうせ10年も放置されれば消えいく運命だろうと思うし。

と、ちょいと哲学的な社会考察をしながら一人で酒飲んでました。もちろん、一言も喋らない黙飲。電車の中で大声で喋りまくる非飲酒者の方がよほど迷惑だと思いつつね。

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