
くら寿司、スシローがコロナ後を見据えた都心部の侵攻を進めている。都心部ではコロナによる閉店が相次ぎ、その跡地への出店が中心なのだが、一階にこだわらない立地政策は「自社ブランド」への強いプライドなのかもしれない。大手ファストフードチェーンでは二の足を踏む二階や地下への出店は当たり前で、3階以上の高層階へも出ていく出店意欲の強さが現れている。最盛期の居酒屋チェーンより強気かもしれない。

回転寿司に入って最初に注文するものは何かと尋ねられるとすれば、答えはほとんどの時にはタコとイアということになる。普通の注文の仕方とは違うのかもしれない。これは自分の好みでもあるし、寿司は味の薄いものから濃いものへ順番に頼むという定説にもあっているはずだ。ただし、個人的にはスシを食べる順番なんていうものにルールなんかないと思う。寿司を食べる順番なんてものは、高い鮨ををありがたがってたべるときに、客に対して暴君のように振る舞う店主が、おのれの権威づけのために流布したものだくらいに考えている。
そもそも握り鮨とは屋台で町の不良たち?が空きっ腹を満たすために立ち食いしたようなものがルーツなのだから、出自を誇れるほどの食べものではないだろうに。好きなものを好きな順番で腹一杯になるまで食べる、これが鮨を食う時の唯一のルールではないか。
などと力説しても、最初に注文したのはオニオンリングだった。これはさすがにルール違反とまでは言わないまでも、ちょっとお行儀が悪い気もする。このオニオンリングに醤油をかけて、ハイボールのつまみにした。この食べ方で行くと、気分的にはインターナショナルな回転寿司屋になる。ロスアンゼルスのリトル東京で回転寿司屋に入ったことがある。アメリカでスシブームが一気に広がる最初の頃だった。そこでカリフォルニアロールを食べた時に感じた、違和感と日本と違うスシの楽しさみたいなものかもしれない。

次の皿は、あっさりあじでコリコリ食感のツブにした。貝類では鮑の次にこれが好きだ。残念ながら回転寿司で出てくる鮑は、鮑の一族ではあるが、アワビではないものが多いので注文するのに慎重になる。もっとも、このツブも世界のどこからやってきたツブなのかは知らない。つぶの一族ではあると思うが・・・。

いつもの定番タコとイカに、ウニ風味のツブが乗った軍艦巻きを注文した。最近の回転寿司の創作ものといえば、変わり軍艦巻きが定番だ。カルビやハンバーグから始まったネタの変化と進化は、最近暴走気味だとは思う。、ああ。それも今の時代の回転寿司の楽しみ方だ。
だいたいこの辺りで胃袋の余裕がなくなってくる。胃袋のキャパを考えれば、魚のスシを頼むには、相当シビアな選択がいる。光物を注文するとしても二皿は難しい。サバとアジを頼むとコハダは諦めなければ・・・的なやりくりの話だ。締めの海苔巻きの余裕を残しておきたい。などとあれこれ考え始めてしまう。最近では職人が握るおまかせコースでも似たようなことになり、あと何貫出ますか?などと間抜けな質問をしてしまう。
この日も予定通りというか、この後二皿追加で終了したのだが、くら寿司の非接触型カウンターは女性に大人気で、15人近くがすわれるカウンター席のほとんどが女性だった。両隣にいたかなりお若い女性も快調にくら寿司名物のルーレットゲーム音をさせていた。一回のゲームは5皿が必要なので、少なくとも10枚、多分15枚は注文していることになる。若い女性にも健啖家は多いのだなあと思いつつ、昔に流行していた肉食系という言葉が脳裏をかすめた。回転寿司の大食い女子のことはなんと表現するのだろう。多皿系とでもいうのだろうか。令和の時代の多皿系女子、頼もしい限りだな。