街を歩く

神田みますや 

神田みますやに久しぶりに行った。記憶が正しければ2年ぶりくらいで、前回行ったのはコロナの前の年の秋だった。友人と久しぶりの飲み会で、場所のリクエストがここだった。5時から開店だが、店の前にはいくつかの開店待ち集団がいた。この時期だから良いが、夏や冬は外で待っているのがしんどいなあ、などと思っているうちに5時になり開店、一番乗りだった。しかし、神田の裏通りでよくもこんなに客が来るものだと感心する。

定番のつまみを注文して、ちょいちょいとつまんでいく。食事というより酒のアテという方がシクリくる。老舗の居酒屋というか、東京一古い居酒屋という話も聞くので、店の中の風情は抜群だ。今ではすっかりなくなってしまった入れ込み、小上がりが健在だ。ただ、この畳に直に座る方式がちょっと辛い。せめて掘り炬燵式にしてもらえたらなあ、というのは客としての贅沢な要望だろ。ただ、そうしてしまっては、老舗の様式が変わる。いただけないという客も多いだろう。
味付けが濃いめ、甘めなのもその伝統豊かな居酒屋の現れで、良い意味で味を変えないのが神田で長く続けている店の特徴のような気がする。

お通しの海苔と久しぶりに飲んだ白鷹がピッタリと合っていた。この店でも日本酒の銘柄は日本各地の有名どころが揃っているが、お燗にするにはやはり白鷹が良いと思う。最近では、滅多に見かけない白鷹だから余計にそう思うのかも知れない。白鷹は近所のディスカウント酒屋、スーパーの酒売り場ではお目にかかれない希少ブランドになってしまった。チェーン居酒屋や最近の日本酒専業居酒屋でも、白鷹は置いていない。昔からの付き合いがある店しか売ってもらえないのかも知れない。一時期は幻の酒と言われていた山形の十四代より遭遇率は低い。
素直な味の酒で、これが昔の一流といわれる日本酒だったという理解で良いのだろう。最近の脚光を浴びた蔵元の酒は、どれもうまいし特徴も際立っている。自己主張の強さが最近の銘酒の条件なのだろう。
、量販店で売られている一般酒がある意味特徴がない甘めの酒であり、それが昭和の味だとすれば、平成の酒は蔵ごとに尖った特徴を訴えかける酒ぞろいだとも言える。その昭和と平成の酒にちょっと疲れてしまった時に飲みたいのが、我は流行に関せず、我が道を行くという白鷹だ。だから老舗居酒屋や蕎麦屋でこの酒を発見すると迷いなく注文する。冷で飲むよりもぬる燗が合うような気がしている。

久しぶりのフル営業で店内は賑わっていた。もう少しして落ち着いてきたら、テーブル席の端っこで一人飲みと洒落込むべきか、などと友人たちの話をぼうっと聴きながら思っていた。秋の夜長は白鷹がうまそうだ。

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