
札幌駅を正面からみるとツインタワーを結んだ空中回廊という構成がわかる。札幌の繁華街の中心が大通公園付近、それも三越と丸井今井の二大百貨店を結んだゾーンだった時代は、札幌駅付近は鄙びた駅前?だった。そこに古くからあった五番館という百貨店の周りに、東急百貨店、そごうの開店が続き、駅前百貨店戦争がヒートアップしていった。その競争の中でまず五番舘が西武百貨店に変わり、結局今では西武百貨店の取り壊され空き地になったままヨドバシカメラの新館が立つ予定だ。そごうもパンクしてSCに変わった。その札幌駅前崩壊と同時進行で札幌駅の大改築が進み、駅高架下にヨドバシカメラが開店したあたりから札幌の中心地が駅前に移り始めたような気がする。新しい駅ビルの開業とともに大丸が開店して、札幌駅周辺の繁華街が大通り付近に競り勝った。丸井今井が伊勢丹三越グループの吸収されたのがその象徴だろう。

その札幌駅も南側の開発が完了し、次は新幹線開通に合わせて北口の再開発が一気に進むようだ。新幹線の札幌駅は、現在の在来線駅からかなり離れた場所にできる。それでも在来線駅まで徒歩で渡る通路で繋がれるようなので、北口周辺が札幌の玄関口となる可能性もある。新幹線開通後は札幌・東京間が5時間程度になる。現在の札幌駅から千歳空港経由で羽田空港に着いて東京駅まで移動すると、JR千歳線が40分、航空機の空港内待ち時間を最低の20分と見て羽田着までが2時間。それに羽田から浜松町までモノレールを使い、山手線に乗り継いで移動として待ち時間を込みで60分。合計で3時間40分になる。
荷物を持って何度も乗り換えての移動と、一度乗ったら5時間そのままと、どちらが楽かと言えば、ちょっと微妙な感じがする。個人の好みで言えば、新幹線が楽だと思う。飛行機でマイルを集めたいとか、格安航空券で移動したいという動機がなければ、明らかに新幹線が快適だと思うのだが。

テレビ塔がある大通公園周辺は、実は旅行者にはちょっと不便な場所で、ホテルが少ない。大通公園から2−300m離れたあたりにホテルが広がっているので、その距離を歩けば良いだけのことだが、ホテルまでの移動を荷物を引きずりながら徒歩というのは、冬には特に厳しい。かと言って、駅からタクシー移動という距離でもない。近過ぎるのだ。札幌で暮らしている地元民には分からない旅行者限定の面倒臭さだ。
秋から冬にかけて、北海道は日暮れが早い。体感的なものもあるが、東京と比べると30分は早く陽が沈む感じがする。それも一気にドーンと暗くなる。夜になって見知らぬ街を歩くのは、ランドマークがわからなくなりやすく辛いものがある。おまけに地元民にはわかりやすい碁盤の目状の街の区画だが、これも暗くなると東西南北がわかりにくくなる。ちょっとした平面ダンジョンという感じか。
今ならスマホの経路指示を入れっぱなしにして移動するという解決策もあるので、さほど気にならないかもしれない。ただ、冬はビルの管理の違いのせいか、ロードヒーティングがある部分とない部分がマダラに存在するため、夜の札幌都心部は歩道にスリップ罠が仕掛けられたようなものになる。特にすべ入り止めがついていない夏靴できた旅行者は、身をもって罠体験をする事になる。旅行者にとって冬の札幌は危険だと断言する。札幌駅と大通りとススキノの三大繁華街を上手に使いこなすには、いささかの知恵が必要になる厄介な街なのでありますよ。