
10月からJR東日本の駅弁キャンペーンが始まるというネット記事を読み、所用のついでに駅弁を買ってこようと思い立った。いつもは新宿駅構内の駅弁屋を使っているが、久しぶりに東京駅駅弁専門店「祭」に出かけてみた。この一年半は、駅弁屋はいつもガラガラだったが、なんと緊急事態宣言をものともせず、店内は歩くとぶつかるほどの客に溢れていた。その中であれこれ物色しながら選んだのが「山形県米沢」の弁当屋の2段重ね弁当。米沢といえば米沢牛の駅弁が有名なところだが、駅のホームで立ち売りをしているという「駅弁の聖地」なのだ。山形には新幹線のとまる駅、米沢、山形どちらでも駅弁が買えるが、個人的には米沢派だ。

ご飯は柔らかめでもっちりとした感じ。オカズは鮭、里芋の煮物などがご飯の脇にある。そして二段目のオカズセットの詰め合わせでは、山形名物玉こんにゃくに絶対定番牛肉と牛蒡の煮物、なぜか肉団子としゅうまいがあり、これまた山形名物の漬物数種と、「山形の幕内」的なものだ。
華やかだし、二段重ねのリッチ感がよろしい。だいたい北東北の駅弁は、これに似たおかずがたっぷり色々詰まっている系が好みだが、牛肉ど真ん中のような「一点豪華主義」な海鮮弁当もある。秋田の鳥メシはその典型だろう。青森にあるカニやイクラが一面に敷き詰められた感じのものも触手をそそられる。
南東北になれば、宮城はさすがに東北の中心、仙台藩の文化というか、あれこれ料理が得意だぜ的幕内弁当が目立つ。福島では郡山の海苔ノリ弁当の一点突破型があるが、会津の2段重ね弁当は入れ物も合わせて秀逸だ。
山形は牛肉特化型がメインだが、今回購入のこの2段重ね弁当は、やはり列車に乗って車窓を眺めながら、ちびちび日本酒と合わせて食べたいものだ。ひとりプチお花見みたいな行動にあっているのが幕の内弁当で、この「山形みちのく旅めぐり弁当」はまさにThe幕内駅弁 な感じがする。
10月になれば首都圏のあちこちの駅構内で駅弁大会「味の陣」の駅弁販売がおこなわれるようだ。電車に乗って駅弁買いに行く「小旅行」に出かけよう。