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コロナで半強制的ステイホームを強いられ、家ごもりした一年半、せめて大量に読書にいそしもう、などと思っていたが、結果的には予想の半分以下の読書量でしかない。知的水準が落ちている、加齢による集中力の低下、視力の減退など色々と言い訳してみるが、学生時代と比べると読書力(読む速度)は1/5程度に落ちていることがわかった。自分を使った実証実験で検証されたのは、引退したら溜め込んだ本を片っ端読むぞ、というのは全く無理ということだ。読む気力が足りなすぎる。残りの人生で溜め込んだ本を読み切ることができるとは到底思えなくなった。
その読書力の低下を補った(?)のが、「アサシンクリード」というゲームで、15年近く放置していたゲームを取り出し、暇つぶしに始めたらドボンとハマってしまった。いわゆるアクションゲームなのでちょっとだけやって苦手だと放置していたのだが、下手くそでも時間をかければなんとかなると自分に言い聞かせ、延々と続けてしまった。結局シリーズをほぼ全巻制覇(11作)したことになる。第1作は設定が中世十字軍の時代で、中東の都市の覇権を握るため、「アサシン教団」と「十字軍騎士団」が争うというもの。ゲームをやるうちに中世の中東世界が気になり歴史のお勉強を始めてしまった。中東世界はなかなか面白い。
2作目以降は舞台がルネサンスのイタリアと地中海世界、滅亡間近のビザンツ帝国とオスマン朝トルコ、大海洋時代の北米カリブ海の海賊、アメリカ独立戦争前の北米植民地、フランス革命のパリ、産業革命期のロンドンとほぼ10世紀にわたるゲーム世界を、ゲームをやりながら歴史のお勉強をする羽目になった。基本的には人類史の裏側でアサシン教団と十字軍騎士団が争い続けているというストーリーがベースとなっている。
それに合わせて、歴史的人物があれこれ登場してくるが、その人物設定を確かめるのが楽しみになった。10年以上続くシリーズであり世界的に人気があったゲームなので、ゲーム機能の進化もさることながら歴史読み込みデータがすごいと思う。日本人にはあまり馴染みのないカリブの海賊以降の北米大陸近代史は、正直言って知識としてほぼ欠落していたので「とてもお勉強」した気がする。
近作はプトレマイオス朝末期のエジプト、つまりクレオパトラの時代でシーザーによりローマ支配が確立する頃の話「オリジンズ」。その時代が、アサシン教団のルーツになっているという設定だった。その次の作品が、もう少し時代を遡りローマ帝国にエジプトを含む地中海世界が支配される前の時代の話になる。これが「オデッセイ」という作品になる。
当時の地中海はギリシア都市国家諸国とペルシアが抗争する世界だったが、その時代からすでに始まるアサシン教団の前駆者と十字軍騎士団の前駆者たちの争いがあったという構成だ。
つまりこのゲームシリーズの中では、ヘレニズム世界から近代ヨーロッパまでの欧州地中海世界の歴史が基本設定として使われている。それを学び直すきっかけとなったのだから、ゲームで遊んでばかりいたわけでもない(エヘンエヘン)。
日本史で考えれば縄文時代末期から明治の手前までに当たる長い期間だ。歴史の学び直し教材として考えれば相当厚みのあるものだろう。特に、北米植民地の独立戦争は、植民地対英本国の抗争と一言で片付けてしまうには、難しすぎる事象だったことも初めて理解した。欧州各国の世界戦略とそこに関わるキリスト教教団、新教と旧教の争いが絡み合う。そして、独立戦争前後の英仏間の駆け引きがフランス市民革命の引き金になったことも理解できた。ゲームを通じて歴史を学ぶのは、なかなか楽しいことだが、余暇時間というか暇つぶしがお勉強に変わり、自分の時間を強烈に持っていかれるのでそこが問題だなあ。ちなみにアサシンクリード諸作はシリーズを重ねるごとに、ゲーム内容のボリュームが増えるため、最近の作品ではやり切るまでに200時間くらいかかるのではないかと(下手くそすぎるためもある)思われるので、時間浪費注意な、遊ぶと危険というべき物であることに間違いはない。代価が歴史の学びということで、そこに妥協点を見つけられる方以外はお勧めできないかも・・・。
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