
新宿駅南改札口側の駅弁屋に並んでいる駅弁は、いわゆる東京の駅弁を中心に、関東圏近郊の駅弁も並べられている。山形の名作「牛肉どまんなか」は例外的な東北方面の駅弁だが、それ以外はだいたい東京周辺限定だ。新宿駅から直通で繋がっている「中央線」で山梨方面と「湘南新宿線」で繋がっている鎌倉周辺の弁当がちょっと珍しい。日本橋の弁当屋の作品や国技館の焼き鳥などは、東京らしさを押し出している。新宿限定の弁当もあるが、それはまたの機会で。

今回ゲットしたのは。「つまんでよし、食べてよし」と力説の「湘南チョイス」で、確かにその通りだと思った。押し寿司は好物だし、変わり稲荷寿司も試してみたい。新宿から湘南方面にグリーン車で移動すれば、それはほとんど小旅行の気分になる。軽く一杯やりながらこの駅弁をつまみにすれば、通勤路線もプチ旅に変わる。
製造元は押し寿司の名店大船軒なので味は保証済みだろう。変わり稲荷寿司は、定番、ゆず、黒糖の3種類だった。稲荷寿司専門店にでも行かなければなかなかお目にかかれない変化球が楽しい。酒の肴として一番よろしいと思ったのはスモーク鴨とマグロの角煮。横浜崎陽軒「シウマイ弁当」でも、主役のシウマイを押しのけて好みなのが、マグロ煮とタケノコ煮なので、駅弁では脇役が大事だ。
幕の内弁当は白飯とおかずの対比で豪華さを見せる。米の白とのコントラストが弁当美の条件だ。ところが、この弁当は白飯がないため見栄えが異なる。弁当というより、おかずイッパイ、酒の肴満載感がある。この箱庭的な光景は猛烈に食欲・酒欲をそそる名作だ。(個人的感想です)
年末くらいになれば、駅弁でちびちび酒を飲みながらの旅行も再開できるらしい。当たり前の日常というのは、マスクを外すことではなく、旅行の楽しみが復活することではないかと思う今日この頃。