街を歩く

酒屋の店先で発見した高知

昔なじみの町恵比寿を歩いていて発見した手書きの商品札というか商品リスト札。恵比寿という街は面白いところで、最近では「住みたい街」の人気が高止まりしている。ただ、おしゃれで先端的な店ばかりかというとそうでもない。実はもう何十年もやっている蕎麦屋や酒屋が街のあちこちに残っているので、ぶらぶら散歩するのが楽しい場所だと思っている。
徒歩で行くにはちょっと遠い感もあるが、隣町の代官山や中目黒、広尾に白金などハイエンドエリアと下町的要素が混在している。その恵比寿で、恵比寿神社の近くにある酒屋を贔屓にしていた。日本酒の品揃えが素晴らしい。というか見たことのない酒がずらっと並んでいるので、昼飯を食べに行った帰りなど、日本酒ライナップを眺めに行っていた。(眺めているだけではなく、たまにはちゃんと買っていたと弁明しておく)
長野県の水尾という酒が好みなのだが、東京ではデパートの酒売り場でもみつけることができない。地元の長野県であれば、品揃えの良い酒屋では見つかる。だから、恵比寿で水尾が買えるというのは実にありがたいことだ。今回も水尾を買って帰ろうと思い、店頭の「酒札」を眺めていたら、びっくりする名前があった。明らかに、長野県水尾よりレアな酒だった。

「高知県 久礼」、久礼と書いて「くれ」と読む。現在の地名は中土佐町久礼になる。昭和のビッグコミックの名作「土佐の一本釣り」の舞台になった街だ。その町の名前を冠した日本酒を作っている蔵元は、ずいぶんと歴史がある蔵なのだが、その酒を東京で目にするのはこれが初めてだった。
昔の商売で色々と高知の方と付き合いができ、そのご縁で高知県観光特使なる宣伝部員も務めているが、それでも高知の地酒を普通の酒屋で目にすることなどほぼない。赤坂あたりの高知料理屋に行けば置いてあるかもしれないが、それでも全国的に有名な高知二大酒メーカー以外の酒を目にすることは本当に少ない。
この酒を買ってかえり、肴には鰹の刺身(タタキではない)にしようかなどと思ったのだが、この暑い中を電車で一升瓶抱えて帰るのもなあ、と諦めた。少し気温が下がったら、持ち帰り用の装備を整えて、次回の恵比寿行きの時には調達してこよう。

ちなみに青森県弘前の三浦酒造「豊盃」、北海道栗山の小林酒造「北斗随想」、長野県飯山の田中屋酒造「水尾」。これが我が三大入手困難酒で、東京のデパートで売っているのをみたことがない。埼玉県秩父のイチローズモルトも入手困難だが、流石に埼玉は地元なのでなんとか手に入る。うまい酒をうまい肴でちびちび飲むのが楽しみになってきたのは、間違いなく高齢化したのだなあ。

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