食べ物レポート

埼玉タンメン 山田うどんの新展開

埼玉県人熱愛の「山田うどん」が、本拠地所沢に新業態の埼玉タンメンを開店した。夏休み前の7月中旬の開店で、そろそろ開店景気も落ち着いた頃とおもい、のこのこと出かけてみた。もともとここは、山田うどんの姉妹コンセプト「かかしらーめん」の店があった。写真の左右に写っているのでわかると思うが、交差点を囲んで「山田うどん」「すき家」「かかしらーめん」と三店が激突する大競合地だ。もう一つの角はホームセンターなので、集客力が高い場所でもあり、どうやら「かかしラーメン」は競争に競り負けたということだろう。その業態転換が「埼玉タンメン」というこれまで聞いたことのない単語の麺屋になった。そもそもタンメンとは東京周辺のローカルフードで全国メニューとは言えない。そこに「埼玉」という形容詞をつけるのだから、何がどうなったかという感じがする。例えて言えば、九州名物のとんこつラーメンに被せて、北海道とんこつラーメンとか、山形豚骨拉麺とかいうようなセンスだ。おまけに、店名は埼玉タンメン山田太郎なのだ。山田うどんの新ラーメン業態店1号だから山田太郎と理解はするが、どうしても頭の中によぎるのは、コミック界最長の水島野球漫画の主人公、ドカベンくんのイメージだ。看板を見る限り、水島漫画との関連はなさそうだが。

開店1ヶ月も経つから待たされることはないだろうと甘く見ていた。結局、30分ほど待つことになり、店内は非対面式のカウンター席とテーブル席の組み合わせだった。街道筋のロードサイド・ラーメン屋だからカウンターが多めにあるかと思っていたが、テーブル席の方が多い。幸楽苑のオープンキッチンとは異なり、キッチンは奥まったところにあり客席からは見えにくい。壁にぶら下がるメニュー板を見て、あまりメニューは多くないとわかる。よく絞り込んでいるという感じがした。やはり店内にもドカベンくんの姿は見えず、「山」と大きく描かれたブランドロゴが貼ってあるだけだ。ドカベンキャラが店内にいたり、メニュー名にかぶさっていれば楽しかっただろうと思うのは、もはやジジイになったドカベンファンだけだろう。

そして一番推しの「濃厚タンメン」を注文した。無料で野菜増しにできるというので、野菜を増量したものがこれなのだが、タンメンという見え方かと言われると、まあ、そんな感じですねえ、というところだ。東京周辺のタンメンの平均的な姿は、塩味スープで細麺、もやしとキャベツや白菜を使った野菜炒めが乗っているというもので、個人的には何やら貧乏くさい(肉っけのない)シンプル中華そばだと思っている。
日高屋のタンメンは1日分の野菜が取れるなどと、野菜の多さを訴えることで、野菜山盛りがメリットになっている看板商品だ。同じやり方はリンガーハットの野菜たっぷりちゃんぽんでも使われている。肉より野菜の方がアピールする時代ということで、ジジイたちの肉願望みたいなものとは一線をかくしている。
だから埼玉タンメンもその延長にある野菜モリモリのものと想像していたのだが、野菜増量してこれかあ、というちょっと残念な見栄え、感じだった。増量という言葉で麺が見えなくなるほど山盛りの野菜を期待してしまったからだ。二郎系で言えばヤサイマシマシ的なものへの期待だった。

スープはトリと豚骨のWスープということで文字通り濃厚なのだが、ここでまたひとつ疑問が湧いてくる。タンメンは野菜たっぷりのあっさり塩味というイメージだが、スープは清湯系の薄味ではなかったか。この濃厚スープは???と思ってしまった。明らかに埼玉タンメンは、長崎ちゃんぽんの直系姉妹というか、双子の兄弟的な代物ではないか・・。
トッピングに微妙な差異はあるが、これはリンガーハットの野菜たっぷりちゃんぽんと同系統の食べ物だ。ただ、埼玉タンメンという名前から想像するものと違和感があるが、これはこれで物凄くうまい。かかしラーメン時代と比べると、別の店と言いたいくらいよくできている。(実際に別の店になっているが)

リンガーハットのちゃんぽん

ちなみに比較のためにリンガーハットの普通のちゃんぽんの写真がこれで、当然タンメンではないから野菜以外にも肉や蒲鉾など色々と入っている。具沢山のバラエティー感がちゃんぽんの売り物だろう。だから、野菜以外のトッピングが入れば、それはタンメンではなくチャンポンということだ。
ということで、埼玉タンメンとは、チャンポンのトッピングが野菜限定版になったものということかな、と自分なりの結論を出した。ただ、この埼玉タンメンには味替わりで、「淡麗スープ」「味噌」「辛味噌」などなかなか手強いラインナップになっているので、あと2−3回は通って確かめてみなければいけない。
個人的な感想で言えば、何回も行く価値がある「うまい」埼玉タンメンだ。なんというか、あの山田うどんが、こんな魅力的なコンセプトを生み出すとは、地元民として嬉しい限りではないか。

リンガーハットのちゃんぽんから、どれだけ距離を離していけるか、今後が楽しみだ。

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