小売外食業の理論

パッケージからブランド理論を考える

ジャンクフードの典型は、ナゲットとフライドポテトだと思う。ただし、ジャンクフードと言いたいやつには勝手に言わせておけとも思う。人の好みに難癖つけるな。誰がなんと言おうと好きな食べ物だ。だから、マクドナルドがナゲットのキャンペーンを始めると、ふらふらと吸い込まれてしまう。ナゲットを食べながら、またあれこれ妄想して、思考が暴走する・・・。ナゲットに妄想成分が含まれているはずもないのだが。(正確には、チキン・マック・ナゲットですね。このネーミングもブランドマーケティングの塊なのだが、それはまた別の機会に)

マクドナルドは世界最大の外食ブランドで、統一化されたオペレーションが作り出す「ブランド」ドリブンの企業だ。ブランドドリブンという言葉が適合するもう一つの企業がコカコーラだが、マクドナルドは中西部のシカゴが発祥、コカコーラは南部のジョージアが発祥、同じアメリカ企業でも体質はずいぶん違うらしい。どちらも、東海岸のエスタブリッシュとは程遠い田舎?出身企業というところは共通だ。昔関わっていたKFCはケンタッキー州、ピザハットはカンサス州発の企業で、世界ブランドにも関わらず本社に行くのはとても不便だった。日本で当てはめれば、山形県酒田市とか岐阜県高山市、茨城県水戸市みたいな感じになるのだろう。新幹線も通らない、空港も近くにない地域の中核都市といった感じだ。
ただ、そのマーケティング戦略はマクドナルド、コカコーラどちらも双子と言って良いほど似ている。チキンナゲットとその味変したスパイシーチキンナゲットは、コカコーラとダイエットコークの関係に似ている。2種類のナゲットは似ているが別ブランド(企業から見ればサブブランド)な商品で、カテゴリー的にはハンバーガーのサイドアイテムだが、対象顧客がキッズとアダルト(ヤング)の違いと言えば良い。コークとダイエットコークも相似形で味は似ているが、対象顧客が二層に分かれている。糖分気にしない層と気にする層だが、どちらの層も甘い炭酸飲料が好きだという共通点がある。

記憶にある昔のチキンナゲットのパッケージはもっと無機質な感じだった。最近はブランド差別化のためか、普通のナゲットは1970年代風のイラストと字体を使っている。これは明らかにファミリーキッズ向けだと思う。それに対して、スパイシーチキンナゲットは、現代風というか太字でゴッシック調の文字を使いイラストなし。ヤングアダルト向けだとわかる。

たかがパッケージの差と思ってはマクドナルドを見誤ることになる。ブランドにこだわる企業は、こうした細部に細心の注意を払い商品の完成度を高める。客の「無意識」に自分たちの意思、ブランドを強化して刷り込んでいくのが最も高度なブランドマーケティングだ。一つ一つの商品の宣伝より、ブランドを脳細胞にすり込むことが、将来的な売り上げを保証するほぼ唯一の活動だということを理解している。
だから字体の選定一つをとっても膨大な手間と時間をかけているはずだ。神は細部に宿るというが、ブランド構築とはそうした細部の仕掛けの膨大な集積で、その細部を手抜きしない企業が勝組になる。勘と経験で出来上がるほど世界企業創設は甘くはない。日本でも東京発の企業が世界ブランドになる時代は、もうおしまいかもしれない。ちなみにアパレル最大手ユニクロは山口発のグローバル企業だが、大きくなってからはずっと東京在住者だからなあ。ちょっとアメリカ的企業とは違う。北海道旭川発とか熊本県天草発とかいうグローバル企業が生まれないものだろうか。

勘と経験(それもひらめき)で国家運営をしようというアジアのどこかの国とは、そもそも覚悟も違い人材も違うのだ。某国の政治屋と官僚はシカゴのハンバーガー大学に行って、マーケティング戦略を学び直してこいと言いたい。ただし、彼らの実力では、最初のハンバーガーを作る実習の時点で落第するだろうけれど。

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