駅弁

あのときのシウマイ弁当

いわゆる復刻版ということなのだと思うが、崎陽軒が最近色々と繰り出す「新企画弁当」が楽しい。この「あのとき」とは、シウマイ弁当発売の1964年のことらしい。包装紙も専用のものを作ったので、丹念に見るとあちこちに仕掛けが隠されている(おおげさかな)
「1964年を懐かしむ」とか、「毎度有難うございます」などの古めの漢字遣いとか。一番は弁当印の1964.10.10という日付かな。神は細部に宿るというけど、こういうデザインは全体感よりも細部が重要だろうと思う。

中身は現代版と違うところも多く、鳥カラの代わりに豚天ぷら。蓮根のきんぴらが入っている、レタスの漬物が入っているなど、進化の途中で消えた絶滅種みたいなおかずが再現されている。今のシウマイ弁当もこの先に一段と進化するのかもしれないが、やはり現代版が復刻版より完成度が高いと思わせるのは進化が正しかったということ。
ただし、進化する過程でシウマイは4個から5個になったので、そのあたりが評価の分かれ目ともいえるかな。昔を懐かしんでみても、今の方がうまいという食べ物が世の中には多いはずで、たとえば虎屋の羊羹を江戸時代のレシピーと原材料で再現したら、きっとえらくまずいものになるはずだ。(砂糖も小豆も昔のものは不純物も多いし、精製度も足りない。原材料が品種的に不利というのは商品の完成度にとって致命的だ)
だから、復刻版はまずさも合わせて楽しむもの、なのかもしれない。あるいは、今の旨さをありがたく感じることが最大の成果か。おそらく長く生き残っている駅弁なども、見た目だけは同じように見せながら味や原材料を時代に合わせて細かく調整を繰り返している。その調整能力こそ老舗になるための条件であり、必須の進化能力なのだろう。
とカンブリア宮殿最後のコメント風に締めてみました。

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