街を歩く

焼き鳥屋の興亡

生まれて初めて食べた焼き鳥は、この店の支店だった。はるか昔の昭和の頃、映画館があった界隈は、なぜか焼き鳥屋がたくさんあって、夏になれば開け放たれた入り口から煙が流れ出てくるみたいな光景が当たり前だった。まだチェーン居酒屋が生まれる前の時代のことで、安い酒場といえば焼き鳥屋が定番だった(と思う)。その店が、看板にテイクアウトの告知をするのだから、全く困った時代になったものだ・

久しぶりに暖簾をくぐりカウンターに席を取ったが、コロナ感染対策なのか、従業員も言葉少なで、店の中が妙に静かだった。一人飲みなので静かなのは良いのだけれど、昔だったら愛想がないぞと文句を言う客がいるかもしれない。それくらいの静かさだった。今の焼き鳥屋は、非常に営業がしにくいのだと思った。

いつものコップ酒を、夏にもかかわらず熱燗にしてもらった。なんだかほろ苦い。昭和から続く焼き鳥屋がなくなるのは実に寂しい。ただ、コロナに勝てるかどうかは微妙なところだろうなあとも思う。老舗だから安泰だということもないだろうし、行列のできる人気店こそ危ないのかもしれない。アフターコロナの時代に昭和の焼き鳥屋がどうすれば生き残っていられるのだろう、などと軽く酔いが回ってくるにつれて考え込んでしまった。答えは簡単で、この店が好きな客がどんどん通ってくることなのだが。断続的に半年近く続いた禁酒令の影響は、政治屋どもが思うより大きいような気がする。クズな政治屋は民主主義存続のために払うツケみたいなものなのだろう。

官は強く人民は弱し、失政でクビになる官僚はいないが、失政で商売をたたむ人民は星の数ほどいるのだよ。日本国首相はオリンピック応援する前に焼き鳥屋応援しろよ、と言いたい。

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