
ダム巡りの旅というのは、田舎の山道をただただ走るだけなので意外とつまらないものだ。特にダムからダムへと移動するときは、ほとんど人里を通らないこともあり、道沿いにある道路標識には黄色で動物の絵が書いてある警告サインが目立つ。北海道のダムの場合は、それに加えてクマの警告が登場する。ダムから先に行くと熊と遭遇する危険地帯らしい。

だからなのか、よくダム下流側に設置されるダム公園が、この庶路ダムには存在しない。ダム下流域の公園はダム写真の絶好の撮影スポットになるのだが残念・・・。

ダムの上は自動車が通行可能なほどの幅もあるが、当然危険防止の観点から通行禁止。ダムマニアは必ず端から端まで歩くらしいが、いつもは面倒臭がって半分くらいまでしかいかない。ただ、今回は早朝にダム到着したので、管理の方が来るまでの時間に余裕があった。そこで、天端(てんぱ)を端まで行ってみた。そうしたら、そこにも熊危険と書かれた標識があり、自然の厳しさを学んで帰ってきた。

実はダムを見に行って感動するのは堤体(ていたい、ダムの本体のこと)そのものよりも、ダム湖の水面に映る光景かもしれない。ダム湖は大体が静水なので、まるで鏡のように周囲の風景を映し出す。見る角度によって写り込むものが変わるのが、なかなか楽しい。
日本で一番東のダムは、熊注意の警告を除けば静かなところだった。下流の街からダムにたどり着くまで15kmほどだったが、その間に10を超える牧場があったのが北海道らしい。が、すれ違った車はわずか一台だった。それもやはり北海道だ。珍しく、帰り際にダムに来た人に出会ったが、フライを使う釣り人だった。熊は大丈夫かと余計な心配をしてしまった。