
鉄道旅最大の楽しみは、車窓からの風景と言いたいところだが、実は駅弁と缶ビールにある、と我が人生でずっと思ってきた。それは今も変わらないが、車窓からの風景を眺めながらぬるくなったビールを飲むのは、だんだんと嫌気がさすようにもなった。冷たいビールが欲しくて、列車の発車間際にわざわざホームの売店でビールを買ったのに、ビックリするほど生ぬるいものを渡されてガッカリしたりするせいもある。特に夏場の新幹線ホームは、冷たいビールを調達するのが難しい。そして、もっと困ったことにJR北海道の駅では、ホームの売店が消滅しているので、ビールの調達法には苦労がいる。改札に一番近いビール売り場はどこだ?を見つけ出さなければならない。
昔は最善の手段が特急の車内販売だった。販売員の方に、キンキンに冷たいのくださいと言うと、箱の底からゴソゴソ出してくれうこともある。車内販売はドライアイスで冷やしているのか、うまくいけば直冷されているキンキンに冷たいものにありつけることもある。しかし、最近の観光客減少を受け、車内販売は中止になってしまった。
仕方がないので、駅近くのコンビニで、一本だけ冷たいビールを買う。ちょっと悲しい。銘柄は迷うことなく、北海道限定のサッポロクラシック。全国あちこちにご当地銘柄のビールはあるが、クラシックは一番のお気に入りだ。麦芽100%であればエビスビールとどこが違うのだと言う方もいるかもしれないが、これは飲んでみなければわからない。エビスよりすっきりしているのは間違いないが。

そして、今だけ限定なのかどうかは知らないけれど、サッポロクラシック・ゴールデンカムイラベル。実はこのラベルの下にこっそり書かれている英文の説明がなかなか泣かせる。不死身のスギモトがヒーロで、埋蔵された宝物探しと死闘。さまざまなコラボ商品はあるが、こと北海道においては、北海道人が愛してやまない?サッポロクラシックとゴールデンカムイのコラボを上回る物は存在しない、と言っておこう。世の中、意外とご当地ヒーローは少ない。
古いところで言えば、東京桜新町とサザエさん。これを使うと波平ビールかマスオさんビールか?博多っ子純情とか、土佐の一本釣りとかもなんとか行けるか?大阪下町でじゃりン子チエもありか。エヴァの箱根は尖りすぎだろうし、ジブリ作品はモデル地が明示されていないし、トトロビールでは何やら飲むのが申し訳ない・・・。
やはりアイヌ料理駅弁(現在おやすみ中らしい)とクラシックで北海道旅が良いなあ。