
恵比寿神社のそばにある渋い外観の店がラーメン屋で、恵比寿でもいぶし銀のラーメン店といえる。コロナ前は昼時には長い行列ができていた。カウンターだけの店なので、並ぶのも仕方がないとは思うが会社のランチタイムでは並んで待ち余裕がなく、いつも横目で睨んでいただけだった。この時期だとひょっとして・・と期待しながら店先を覗いてみたら行列ゼロ。お店の方には申し訳ないが、ラッキーと店に入った。券売機で「普通の中華そば」を購入し、席について静かに待つ。店内には数名の客がいるが、このご時世なのかひとり食ばかりで会話はない。ラーメン屋が静かなのはとても嬉しい。西新宿の某有名店では、観光客だらけでおまけにキャピキャピな会話、それもうんちく混じりが多くて閉口ものだったが、ここは静かだ。ありがたい。

濃厚な魚介スープのためか、丼の中にスープが少なめに見える。麺はもっちり系でスープとの絡みも良い。チャーシューはおそらく真空調理の柔らかなもの。好みに個人差が出そうな特徴的なものだ。店内にあった、最近風のストロングスタイルな感じを受ける。魚介スープのラーメン店は、だいたいこんな感じにまとまっているのだが、開店時期を考えれば、この店が魚介ラーメンの元祖級なのは間違いない。家系ラーメンが増殖を始める前から、この店は同じスタイルだったような記憶がある。ラーメン店に老舗はあるかと言われると、多分存在が難しいと思う。現代のラーメンは時代に合わせて進化速度が上がっているから、古いラーメン店は業界の継続的な進化に追いつかなければ衰退してしまう。そこがそばと違うところだろう。
それだけに、この店のストロングスタイルがどこまで続くのは実に楽しみなのだが、少なくともコロナに負けることはなさそうだ。