2017年の記憶 #33 昔に撮ったiPhone写真から引っ張り出してきたあれこれ

全国ありとあらゆるところに地元産の料理を出すうまい店はある。いわゆる観光名物ではなく地元の家庭料理で、ご馳走というより日常食に近いものがうまい店だ。だから、そんな店は観光客相手というより地元客相手で長く商売をしているとことが多い。観光都市札幌にも「地元客+たまに観光客」的な店は何軒があるが、ちょっと手の込んだ料理を食べたい時に行く店がある。カウンターのガラスショーケースいっぱいに並べられたお惣菜というか酒の肴を眺めながら、あれこれ選ぶのが楽しい。夏前の時期に行くのであれば石狩湾で獲れる「シャコ」がおすすめだ。大ぶりで子持ちのメスがうまい。これを肴に飲む冷酒は、当然ながら北海道産「国稀」がおすすめだ。

北海道の短い夏が終わる頃に出回るローカルキノコに「落葉」「ぼりぼり」というものがある。落葉はちょっとヌメっとした感じで、特有の臭みがあるがそこがよいところだ。さっと湯掻いたものをなめこおろしならぬ落葉おろしで食べると、秋が来たなあという感じがする。子供の頃は全くうまいと思わなかったので、やはり人としての経年劣化のせいで味覚が変わったのだろう。

鱈の子を醤油で甘辛く煮たものは、秋から冬にかけてのうまいものだ。タラのシーズンが寒い時期なので、必然的に冬になると登場する季節商品だ。これを煮詰めると佃煮風になりご飯のお供2歳的なのだが、サラッと煮た時には酒の肴に最適だと思う。魚の卵はなんでもうまいと喜んでいるが、粒の大きなイクラやキャビアはやはりちょっと高級なので、タラコやトビコのような小粒な方が居酒屋向けということか。すけそうだらの卵も似たようなものだが、やはりタラコは真鱈に限る。チェーン店ではなかなかこういうものにはお目にかかれないのは仕方がないにしても、出てくるメニューが日によって変わるのを楽しみに通ってしまう。居酒屋の楽しみは、まさしくそこにあると思う。東京でこの手の店を見つけるのがなかなか難しいのは、東京の料理に思い入れがないからなのか。それとも、東京東部、下町側に通えば見つかるのか。その辺りを突き詰めてみたこともないが。東京のソウルフードは、案外と「もつ焼き」なのかもしれないななどと思っている。