2017年の記憶 #30 昔に撮ったiPhone写真から引っ張り出してきたあれこれ

ダム巡りを初めて、おそらく100箇所以上のダムを見てきた。最初のうちはあまり気にしていなかったが、美形なダムというものは確かに存在する。設計者の意図は極めて実用的な水資源管理のための建造物だと思うが、結果的に巨大建造物特有の美しさが生み出される。その造形美はダムの両サイドを固める山の連なりなどと調和してできるものだから、狙ってできるものでは無い。また、ダムの下側にダムを見上げる場所があり、そこから適切なアングルで見ないと、「美」を見つけることが難しい。東日本のダムを見てきた中で、おそらくこれが一番だというのが群馬県の山奥にある「奈良俣ダム」だ。

ダム建設の時には工事車両を通す道路が建設されるので、大体のダムには整った道が通じている。ただし、古いダムになると工事道路のメンテナンス状態が悪く木が覆いかぶさる山道というか悪路になっている場合もあるので、現地に着くまでは安心できない。この奈良俣ダムは、ダムまでの道はとてもスムースなのだが、その手前の山間部の道がちょっと大変だった。それでも長野県北部のダム工事道路よりは数段マシだった。山間部の町を抜けてダムに近づくといきなり見えてくるのがこのダム姿で、これはなかなか珍しい光景だ。大型のダム接続道路は大体が山の尾根近くを通り、川底に近い低地部分には繋がっていないことが多いからだ。このダム下部地帯は整備されて公園になっていたりキャンプ場になっていたりする。奈良俣ダムでは普通に道になっていた。
群馬県の新潟寄り、そして長野寄りには美しいダムが多い。行くのは大変な場所ばかりだが、行ってみればダムの美しさに惹かれると思う。自然と人工物の調和、みたいな言葉が浮かんでくる光景だろうと思っている。