2017年の記憶 #17 昔に撮ったiPhone写真から引っ張り出してきたあれこれ

伊勢神宮にお参りに行ったら、必ず立ち寄る門前町「おかけ横丁」は、お土産物と飲食店がぎゅっと詰まっているありがたい場所だ。お参りが終わり腹が減ったと思えば、この中で好きなものを食べれば良い。土産物では伊勢茶とか伊勢醤油とか、微妙に購買欲をそそるものもある。
お伊勢参りの名物と言われれば、伊勢うどん一択しかない、ということにはならない。個人的には伊勢うどんは一生に一度食べればそれで十分という気がする。相当な麺食い、麺好きを自認するものだが、伊勢うどんだけは好みの食べ物とは言い難い。漁師料理らしい「カツオの手ごねずし」もなかなか捨てがたい。しかし、個人的な好みを押し出せば「横丁そば」がイチオシだ。蕎麦と言っているが、日本蕎麦ではなく中華そばのことで、スープが牛骨という変形ラーメンだった。これがなかなかのスマッシュヒットという感じに仕上がっている。次回のお伊勢参りでもきっとこれを食べると思うくらいの「好み」の仕上がりだった。
丼が大きいので少なく見えるが量は十分
メニューというより品書きと言いたいアーティスティックなメニュー表を見て、ああ、この店はセンスがいいなと感じたが、味のセンスも良かった。すっきりとしているがコクがあるという若干矛盾した表現になるスープが、このラーメンの完成度を高めていた。関西圏は薄味という先入観があるが、実は関西圏は「濃い味」で色が薄いだけ、味は薄くないものが主流だと思う。
東京でもずいぶん店が増えた大阪 神座(カムクラ)のラーメンも、スープの色は薄いが味は濃厚だ。伊勢神宮前という日本屈指の門前町で食べるラーメンも、メニューを見ると和風で味が薄めの仕上がりのように見えたが、実際にはガツン系ラーメンと言いたいくらいの味の強さ、美味さだった。仏教とは違い肉食もありの日本神道だから、門前町でもこんな濃厚味もありだよなと思う。長野の善光寺前門前町でこのラーメンが出ていたら、坊さんたちが目を向いて怒るかも?というくらいストロングなケモノ味だった。(まあ、最近の坊さんたちは肉食妻帯制限ないみたいだから、アリなのかもしれないが)
できれば関東圏に進出して多店舗展開してくれないかなあ、と素直に思ったうまさだ。伝統にあぐらをかかず、新規なものをとりいれる。お伊勢参りが廃れない最大の理由がそこにあるような気がする。エンタテイメントビジネスは、昔から変わらない定理で動いているのだね。