2017年の記憶 #16 昔に撮ったiPhone写真から引っ張り出してきたあれこれ

中央高速諏訪インターを降りて、ビーナスラインで蓼科方面に進むと、レストランや食堂が何軒か固まっている場所がある。蓼科湖のちょっと手前にあたる。そこに行列のできる蕎麦屋がある。店自体が小ぶりなので、収容人数が少ないこともあるが、やはり蕎麦の旨さが行列の原因だろう。駐車場は10台くらい入るのだが、席数は5台分くらいしかない。つまり、駐車場満車は、行列待ちが発生ということになる。週末ともなれば開店時から満車が当たり前で、待たずに入りたければ平日の2時過ぎくらいを狙うしかない。冬になれば、少し行列も減るが新蕎麦目当ての客も多い。蕎麦道楽を自認する以上、行列に負けるわけにはいかない。

注文するのはシンプルにもりそばにすることが多い。ただ、ここのもりそばは2回に分かれて出てくる。一度に出すと、食べているうちにそばが伸びるのを店主が嫌っているとのこと。一人前が半分ずつに分かれて出てくる。おまけに、こちらの食べ具合を見ながら2回目を茹でるそうなので、一枚目の盛りが無くなるのとほぼ同タイミングで二枚目が出てくるという神業だ。行列ができるわけだ。蕎麦は当然手打ちなのだが、手打ち蕎麦屋にありがちな、「蕎麦はうまいがツユがヘタレ」ということはない。かつお出汁が強めの濃い味で、蕎麦とのバランスが良い。お江戸の老舗の蕎麦屋の味に近い感じがする。
長野にはたくさんの蕎麦屋があり、それぞれが個性的というかバラエティーがある。その中でも、蕎麦としての洗練さで評価するのであれば、この店を一番に推したい。ビーナスライン沿いだけでも超高級な店から、名物わさび蕎麦が推しの店、田舎蕎麦の店など蕎麦屋だけでも選ぶのに困るほどだ。松本、あずみの、長野、戸隠、高遠、開田高原などなど蕎麦名所が多過ぎて、長野で蕎麦を堪能するには、正直に言って時間が足りない。それなのにそばの名所は長野以外でも、山形の大石田そば街道もあり、福島の山都や兵庫の出石そばもあり、行きたいところはそれこそ山のようにある。そば道楽を極めるのはなかなかな悩ましいものだ。