2017年の記憶 #4 昔に撮ったiPhone写真から引っ張り出してきたあれこれ

伊勢神宮入り口にある参詣者向けの商店街というか、門前町というか、土産物や食べ物が楽しめる一角がある。人工的に作られた商店街なのだが、それも随分と時間が経ってすっかり「町っぽく」なっていた。伊勢名物、あんこ餅の「赤福」の社長さんががんばって旗振りをしたそうだ。赤福は本店は実に大きく立派な建物だったが、この「おかげ横丁」の中にも何店か出店している。当然、赤福のあんこ餅を食べる人で賑わっている。ちょっとした順番待ちも起きているので、違う場所に行ってみたら、そこでは「かき氷」を食べている人を見つけた。5月下旬の暑い日だったせいもあり、何やらとてつもなくうまそうに見えて、急遽あんこ餅からかき氷に変更した。

柔らかなかき氷に抹茶味のシロップがかかっていた。少し食べたところで、氷の中にあんこの芯があるのに気がついた。気になって「芯」を確かめてみることにしたら、何やら相当な大きさのあんこ塊が出てきた。氷を食べて、キーンとしてくる頭を、温かいお茶で宥める。箸休めというかスプーン休めにあんこ玉を少し食べる。かき氷が何段階か進化した、ラスボス級かき氷だった。
やはり和菓子の老舗が考えることはさすがだ。物価とか、洗練とか、かき氷には似つかわしくない言葉が浮かんでくる。歴史のある街は違うなあと感心した。この街は、少なくとも江戸中期から300年以上、伊勢参り観光客を相手にしてきた、凄腕の観光業者集団だから「接待商売」のレベルが違う。北海道の自然を全面に押し出した「考えなしの素材提供」と比べれば、その巧妙さのレベル違いは歴然だ、などと文化的考察に浸りつつ、かき氷を堪能した後は「赤福」を追加してしまった。伊勢商人の観光技に完敗だった。