恵比寿は長年通っていた街なので懐かしい店も多い。顔を覚えられる常連扱いの店もあったが、ここ一年で色々と変わってしまった。変わったことで言えば、まずはラーメン屋が増えた。理由はよくわからないが、JR恵比寿駅を挟み新旧ラーメン店が30軒くらいあるのではないだろうか。そんな恵比寿のまちで30年以降通い続けている町中華の店「どんく」がある。この店はちゃんぽんの店だったはずが、いつの間にやらメニューが増えて、今は中華料理店というより中華居酒屋化している。そのどんくの個人的なイチオシが、スタミナラーメン。ニラと豚肉を甘味噌で炒めたものが載っているラーメンで、10回のうち9回はこれを頼んでいる。日によってスープの味が濃かったり薄かったりするのがご愛嬌というか、そのゆるさが町中華というものだろう。

そのドンクより歴史のある名居酒屋「あすか亭」が閉店してしまうらしい。40年近く営業しているはずだから、店長もすっかり疲れてしまったのだろう。いつも満席の人気居酒屋で、3回に1回くらいしか入れない混雑振りだったが、この1年間は無能無策の行政に本当にいためつけられたはずだ。連休明けには是非一度行ってこなければと思う。わらじコロッケとカレーポテトは絶対注文しなければ。ワンタンも忘れてはいけないし、締めは釜揚げうどんだ。

駒沢通り沿いにある魚のおいしい青森料理居酒屋がある。ビルの2階というちょっと厳しい立地だが、時間が経つにつれてだんだん人気が出てきた。たまたま開店してすぐの時にふらっと入ってから、月1−2回くらいの頻度で通っていたが、ここしばらくはご無沙汰していた。その居酒屋がまさかの魚テイクアウトを看板に挙げているのをみてびっくりした。確かに、鮨屋でお土産に寿司を持って帰ることもあるから、居酒屋料理のテイクアウトは「あり」だとは思うが。うーん、本当に色々と考えさせられる。まさにこの一年は居酒屋業界は競争ではなく、生存のための戦争だったのだろうな。

おそらくこの先、緊急事態宣言は定例化して、「今年の第21次緊急事態宣言が、また発令されました」、と誰も気に求めない天気予報の雨マークみたくなるのだ。そして、その時には休業補償をする飲食店はすっかり街から消え去っている。そんな未来を想像してしまう。