あまりひと様に旨い、美味いと味や店を押し付けることはしない。自分の旨いものは自分だけがそう思っているだけで、他の人がそう思うはずがない。ただ、誰かに勧められて「なるほど、これは旨い」と思うことも多い。だから、「ひょっとしたらあなたのお口に似合うかもしれませんね」的なおすすめ、リコメンドとして、これは自分の好みですということはある。旨いですよということはほぼない。ただ、この店だけは例外的に「うまい」と言いたい。
一年振りくらいでびっくりドンキーに行ってきた。焼肉を食べようと思っていたが、焼肉屋が平日ランチにもかかわらず大行列ができていて、15分経っても誰も席に案内されない。席は空いているので、従業員を削りすぎたためらしい。春休みが終わってシフト調整に失敗したということのようだ。

そこで、肉関連の連想ゲームでハンバーグになった。向かいはマクドナルドだったから、ハンバーガーでも良かったのだが(サムライマックを試してみたかった)、焼肉と白飯が脳内イメージで固まっていて、そこから離れられず、お皿に入ったハンバーグ定食に決めた。
合い挽き肉でソースなしで食べられるというのが、びっくりドンキーの売りだと思う。柔らかい、箸で食べるハンバーグだ。肉を齧り、コメを放り込む。単純作業の繰り返しが止まらない。世に数多く存在する定番商品というわれる長寿メニューは、まさに米をうまく食べるためのおかずという感じのものが多い。あちこちのファミレスで模様風ソース、和風ソースいろいろかかって味変しているものが多いが、「素」のハンバーグで勝負するところは数少ない。単純に混ぜ物が多すぎてハンバーグの味が弱いのを隠すためということが感じられる。ごろごろしたハンバーグを売り物にしている静岡のさわやか、名古屋のブロンコビリー、北関東のフライングガーデンくらいが、例外的にプレーンハンバーグで勝負している。どちらもローカルチェーンだから、ナショナルチェーンでハンバーグ勝負といえばびっくりドンキーくらいしかないだろう。
昔のコスパの良さは薄れつつあるのが残念だが、肉の量、白飯の量などが選べるので、腹具合にあった注文ができるのもありがたい。まさしく家の近くに一店あって欲しい店の代表だと思うのだ。びっくりドンキー札幌2号店から通い始めて、ずいぶん長い付き合いになったが、今でも飽きない。多分、死ぬまで飽きないと思うなあ。